2024年3-4月号
県内に拠点を置いて活動する自助グループを紹介します
医学の進歩により、重い病気などを抱えて生まれてきても救われる命が増えたことにより、日常的に医療的ケア※を受けることが不可欠な「医療的ケア児者」も年々増えています。本人とその家族、支援者が中心となり、令和4年4月「兵庫県医療的ケア家族会」が発足しました。
今回は、世話人である中元恭世(なかもとやすよ)さん、分部晴代(わけべはるよ)さん、角裕実(すみひろみ)さんにお話しを伺いました。
※人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為
Q1.
会を立ち上げたきっかけは
A.
令和3年6月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が成立したことをきっかけに、医療的ケアが必要な本人や家族、支援者を一つにつなぐ全国組織「全国医療的ケアライン(通称:アイライン)」が、各都道府県単位の家族会を会員として設立されました。当時県内には、県単位の家族会はなく、これに呼応して、「西宮市肢体不自由児者父母の会」の会員などが中心となって会を立ち上げ、活動をスタートしました。現在、会員50名程度で活動しています。
Q2.
現在どのような活動に力を入れていますか
A.
医療的ケア児者は、日常生活および社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠です。就園・就学時期は教育・保育施設や学校への送迎、そこでの日中のケアなど、ライフステージによって、必要なサービスも異なります。看護師やヘルパーなど専門職による支援が制度として整備されつつありますが、生活の全てがカバーできるわけではありません。自治体によって使える制度もさまざまなため、複雑な支援施策・サービスの種類や利用方法、自治体の状況などの情報提供が活動の大きな柱になっており、主に全国の動きやセミナー情報を毎月メール配信しています。
もう一つの柱に、会員同士の交流があります。「アイライン」主催のサークルがあり、全国各地の会員がオンラインで参加しています。日々の生活に役立つ情報やケアする中で生じるさまざまな思いを共有し、わかち合うことができる、大切な場になっています。県内の身近な交流活動としては、オンラインの防災セミナーや、家族だけでは少し難しい日帰り旅行など、試行錯誤しながら進めています。
Q3.
今後の目標は何ですか
A.
会が設立して2年、阪神間に住む会員が多く、県内でつながることができていない地域がまだまだ多いと感じています。誰ともつながれず、一人で困りごとを抱えている人がまだいるのではないか。人数にすればわずかかもしれませんが、求めている人は必ずいると思います。今は、ホームページの作成、会員が利用するサービス事業所でのチラシ配布、県が設立した加西市にある「医療的ケア児支援センター(医療福祉センターきずな)」を訪れる相談者に会を紹介してもらうなどして、会の存在、つながれる居場所があることを呼びかけています。もっと仲間が増えたら、県内の医療的ケアの現状を調査し、私たちの声を広く発信していきたいです。