セルフヘルプグループのリアル – ふうせんの会

 県内に拠点を置いて活動する自助グループを紹介します。

ふうせんの会

 「ヤングケアラー」と呼ばれる、さまざまな理由で、家事やきょうだいの世話、家族の介護、感情的サポート、通訳などをしている(していた)子ども、若者たちの集まりである「ふうせんの会」。代表で、ヤングケアラーの調査研究を行っている大阪歯科大学教授の濱島淑恵さんにお話しを聞きました。

「集まり・話せる場を」と、晴れて迎えた設立総会

Q1.
 グループを立ち上げたきっかけは

A.
 調査研究を行う中で出会った(元)ヤングケアラーたちから「誰にも話せなかった」という声を多数聞きました。イギリスでは、孤立しがちなヤングケアラーが集まる場を作っており、日本でもそのような会を作ってほしいと講演会で伝え続けました。しかし、ヤングケアラーの周知が進まない状況では広まらず、そこでまずは自分たちで行動をと、令和元年、研究活動で知り合った元ヤングケアラーたちと「ふうせんの会」を設立しました。現在、大学教員、支援者も加わり、運営メンバーは18名、うち13名が現役または元ヤングケアラーです。

Q2.
  現在どのような活動に力を入れていますか

A.
 一つはつどいの開催です。(元)ヤングケアラーが自分の体験を自由に話す「リレートーク」と小グループに分かれた「おしゃべりタイム」があります。リレートークでは、それぞれのケア経験を守られた安全な場で話し、皆で共有します。相談してうまくいかなかった経験を持つ人もいますし、ご本人だけで話すのが不安な人には、スタッフがサポートに入ることもあります。他の人の話を聞くだけでも良いですし、オンライン参加も可能です。また、少ない人数で個人的なことを聞いてほしいなどの要望があれば、メンバーとオンラインで話す少人数セッションも行っています。
 もう一つは啓発です。一過性の話題で終わらないよう、講演に加え、研修会用の動画配信を行っています。できるだけ地域住民、医療福祉関係者、行政や学校関係者など、多くの方に知ってもらい、理解してもらうことが第一歩です。

Q3.
  社会に望むことやグループの目標は何ですか

A.
 今やっている(元)ヤングケアラーための交流の場を継続することが目標です。また、今、支援策を検討し始めている国や自治体にヤングケアラーの声や現状を発信していきたいです。
 今年2月にはNPO 法人となりました。(元)ヤングケアラーには自分の経験を生かして何かしたいと思っている人も多いです。「ふうせんの会」が、(元)ヤングケアラーたちの自己実現を叶える場になっていけばと思っています。

県内在住の元ヤングケアラーの声

  • 今まで誰にも話したことがないことを話すのはとても勇気がいります。否定されずに話を聞いてもらえる場所はとても安心できます。
  • 家族の介護をしているのは自分だけだと思っていましたが、ひとりではないことがわかり、ほっとしました。

グループの概要

名称
ふうせんの会
※関西を活動地域としています
定例のつどい開催日
奇数月の第2日曜日
午後1時半~3時半
HP
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