セルフヘルプグループのリアル – NPO法人兵庫県断酒会

 県内に拠点を置いて活動する自助グループを紹介します。

NPO法人 兵庫県断酒会

 さまざまな経緯でお酒に依存する暮らしに陥った当事者と、酒害に巻き込まれて苦悩する家族が集まる断酒会は、アルコール依存からの回復に向けて活動するグループです。その活動について、県断酒会の理事で事務局長の鳥渕さん、芦屋断酒会会長の塩澤さん、神戸市断酒会三宮支部長の松岡さんに伺いました。

それぞれの体験を語りながら、アルコールの無い生活を続けようと誓い合い、励まし合う断酒例会
神戸市で実施する「酒害教室」は、当事者・家族・支援者など、誰でもアルコール依存症について知り・学べる開かれた場です

Q1.
 グループを立ち上げたきっかけは

A.
 兵庫県断酒会は、昭和63年に県域の連合会組織として県内各地の断酒会が団結して結成されました。
 阪神・淡路大震災を経て、アルコールからの回復を目指す作業所の運営を始めたことを契機に、平成13年にNPO法人の認証を受けて現在に至ります。

Q2.
 現在どのような活動に力を入れていますか

A.
 県内17の断酒会では、それぞれ断酒例会を中心に活動しています。例会で唱和する「断酒の誓い」の一節に、「私たちは酒に対して無力」「自分ひとりの力だけでは、どうにもならなかったことを認める」とあります。この誓いのように、当事者や家族は自身の過ちも弱さをも公開して体験を語り合い、依存からの回復という希望をもって活動しています。
 また、専門家ではない“依存経験を持つ仲間”という立場で困っている人を支えようと、平日は電話相談も受けています。否認の病気とされるアルコール依存症は、当事者が自ら相談することは少ないものです。皆さんの周囲に気になる方がいる場合も遠慮せずご連絡ください。

Q3.
 社会に望むことやグループの目標は何ですか

A.
 行政や医療機関との連携を深め、アルコールに関連する問題を広く発信することです。
 近年は、市と連携した「断酒ミーティング」が丹波市で始まり、県立ひょうごこころの医療センターなどの医療機関との「合同夜間例会」も始まりました。
 また、神戸市断酒協議会※1は、市との連携で会員以外の方も対象に「酒害教室」を定期開催し、アルコール依存に関わる情報を伝え、抱えているお酒の悩みを相談できる場にしています。他には「モデル酒害教室」という活動もあります。これは生活保護や保健センター、地域包括支援センターなどの職員に向けて、区役所が実施する研修で断酒会が講師を務め、会の活動と当事者の経験を伝える取り組みです。生活の困りごとの背景にアルコールの問題がないかと、福祉の専門職が思い浮かべるだけでも、事態が深刻になる前の支援につながると考えます。
 今後も当事者や家族と分かち合う自助グループとして、さらには社会に働きかける市民活動団体として活動を進めます。

※1:神戸市内にある3つの断酒会が合同で活動するグループ

グループの概要

名称
NPO法人 兵庫県断酒会
所在地
神戸市長田区御蔵通6-17
HP

http://hyogo-dansyu.sakura.ne.jp/
電話相談
078-578-6312(平日10:00~16:00)

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