2024年3-4月号
このコーナーでは、地域福祉のキーパーソンや実践者・当事者らのエピソード・思いを紹介していきます。
近藤 公範(こんどうきみのり)さん
電動車椅子サッカー日本代表監督
小学校教諭(丹波市)
心を常にニュートラルに保つ
赴任した特別支援学校の卒業生が電動車椅子サッカーを手伝ってくれる人を探していると聞き、少し興味があったので練習に見学へ行ったことが、電動車椅子サッカーとの出会いでした。そのチームは、電動車椅子サッカー教室からできたチームで、そこでプレーする選手たちは、リハビリや交流などサッカーに関わる想いはさまざまでした。何度か選手たちと関わるうちに、「楽しむだけでなく、勝てるチームを作りたい」という想いを持った選手がおり、私自身本格的なサッカーの経験はありませんでしたが、その選手達と共に小野市の体育館を拠点に「Red Eagles兵庫」を立ち上げました。
選手達と練習を重ねながら、「上手くなりたい」「勝ちたい」という気持ちをチームとしてどう実現することができるかを選手たちと一緒に考えています。
選手達は、筋ジストロフィーや脊髄損傷、脳性麻痺などの重度障がいを抱えており、W杯のように飛行機での渡航を伴う場合、呼吸状態や血中酸素濃度の管理などの医療面でのサポートが必須となります。医療関係者を中心としたメディカルスタッフ、競技用電動車椅子メンテナンス担当のメカニカルスタッフなどのスタッフやその関係者など、多くの人達が関わっています。
監督業以外にも、スタッフ間の調整や競技を知ってもらうための広報活動にも力を入れてきました。
また、チームづくりとして大切にしていることは、選手とのコミュニケーションです。プレーだけでなく、イメージや想いもつながるよう、「得意なプレーは何か」「何を大切にしてほしいか」「どうすればもっとチームとしても個人としても良くなるのか」など、選手たちに問いかけながら一緒に考えるようにしています。
私たちが所属している日本電動車椅子サッカー協会は、日本障がい者サッカー連盟(JIFF)に所属する障がい者サッカー7団体の1つです。今回のW杯では、日本障がい者サッカー連盟(JIFF)が所属する日本プロサッカー協会(JFA)のA代表と同じ八咫烏(やたがらす)のユニフォームを、初めて着用することができました。
今大会を通して、戦術の浸透や選手個々の判断力を高めていくことが、次回の2026年W杯(アルゼンチン・ブエノスアイレス)に向けての課題だと感じました。
電動車椅子サッカーは、想像以上にスピーディーかつアクティブで、パワフルな競技です。今後も選手達のスキルアップや競技の広報・普及活動に全力で関わっていきたいと考えています。少しでも、この競技や選手たちを知っていただき、多くの方にサポートいただけるとうれしいです。
電動車椅子サッカー(国際的呼称:パワーチェアーフットボール)
詳しくはホームページをご覧ください。
JIFF|一般社団法人 日本障がい者サッカー連盟
https://www.jiff.football
JPFA|一般社団法人日本電動車椅子サッカー協会 (web-jpfa.jp)
http://www.web-jpfa.jp