2023年3-4月号
県内に拠点を置いて活動する自助グループを紹介します。
たつの市の知的障害・発達障害の子どもを持つ親の会「たつの市手をつなぐ育成会」。行政や教育機関との連携を図りながら、親同士の交流に力を入れています。会長の矢野一隆さんにお話を伺いました。
Q1.
グループ発足のきっかけは
A.
手をつなぐ育成会は、昭和27年に、知的障害の子どもを持つ3人のお母さんが、障害のある子の幸せを願い立ち上げました。県組織も昭和31年に設立され、今では県内全ての市町で組織化されています。 たつの市では、昭和36年に行政からの呼びかけに応じる形で発足しました。事務局を行政が担っていることもあり、行政はもちろん学校との連携も取りやすいです。
Q2.
現在どのような活動に力を入れていますか
A.
保護者が4~5人ずつのグループに分かれて自由におしゃべりをする「茶話会」の場を大切にしています。愚痴をいっぱい言ってもいいし、我が子のおもしろエピソードを話してもいい。あえてテーマを決めず、気兼ねなく話をしてもらうことで、思わず本音が出たり、気持ちの整理ができます。会員ではない保護者や学校関係者にも参加してもらい、つながりの輪が広がっています。 また、子どもから大人まで皆が気軽に参加できる「よさこい交流」を毎月行っています。その他にさまざまなジャンルの曲を練習し、元気に楽しく踊ります。年2回程度、レクリエーションやイベントに参加しています。
Q3.
社会に望むことや目標は何ですか
A.
目の不自由な人には白い杖、脚の不自由な人には車いす、それぞれに支援ツールがありますが、知的障害を持つ人が社会の中で安心して暮らすためには、「障害に理解のある人」が増えることが必要です。 この世界には、障害を持つ人、これから障害を持つかもしれない人、この2通りしかありません。知的障害を持つ人が身近にいることに気付き、他人事ではないと感じてもらうきっかけになればと、育成会の会員や行政、市民有志で、啓発グループ「ぴーす&ピース」を結成し、自治会や学校で「知的・発達障害擬似体験」を行っています。 これからも、何でも気軽に相談してもらえる「社会資源」になれるよう、育成会の活動を続けていきたいです。