笑顔輝く共生のまちづくり−「ティーンズビストロ」

“笑顔”と“共生のまちづくり”につながる取り組みをレポート

 二か月に一度、尼崎市内の公共施設を利用して中学生や高校生たちがシェフとして料理をふるまう「ティーンズビストロ」。地域の大人たちの見守りの中、子どもたちが自分らしくいきいきと活躍できる居場所になっています。

未来につながれ!「ティーンズビストロ」

「おいしい」だけの笑顔じゃない

 ティーンズビストロは、子どもがさまざまな形で活躍できる居場所があればと、市内のスクールソーシャルワーカー(以下、「SSW」)たちが子どもたちに声を掛けてはじめました。子どもが「お客さん」になる子ども食堂とは異なり、SSW や社協のサポートのもと、子どもたち自身が会場の準備や調理をすることで、自分で作る喜びや達成感を感じたり、自分らしさを感じられるような空間です。
 初めは緊張していても、料理をする中で参加者同士の自然なコミュニケーションが生まれます。季節に合わせた飾りで店内の雰囲気を盛り上げたり、ピアノやフルートの演奏をしたりすることもあり、子どもたちが料理以外の得意なことを発揮する場にもなっています。
 参加を通して自分に自信をなくしていた子が自身の将来を積極的に考えられるようになるなど、子どもたち一人ひとりが尊重され、「自分」を表現していい場所だと実感できるからこその変化があります。お客さんとして招かれた家族や学校の先生、地域住民、市社協や市役所、少年サポートセンターの職員も、そんな子どもたちの姿に元気をもらい、自然と笑顔が広がります。

地域で子どもを見守っていく

 普段から学校や地域で関わりのあるSSWが声を掛けることで、子どもたちが安心して活動できるような場にしています。運営に携わるSSWの黒光(くろみつ)さおりさんは、「尼崎市立花地域振興センターと市社協の協力により行っています。大人に何かしてもらうのではなく、自分の作った料理を提供することは、役割を果たした実感が持て、自信につながります。地域の中で自分が認められ、大切にされた経験があれば、将来どこで暮らすことになっても、誰かとつながることを覚えていてくれると思うんです」と子どもたちの変化と将来に向けて語ります。
 運営や、子どもへの関わり方を一緒に考える市社協の地域福祉活動専門員の友永千恵子(ともながちえこ)さんは、「私たちは、活動の中心である子どもたちが『もっと大きな世界を見たい』と思った時にそっと外の世界につなげ、活躍の場を増やせるようつかず離れず見守ります」と地域とのつながりの大切さを強調します。
 地域で子どもを見守り、子どもたちが自分自身を尊重される経験をすることで、自分を肯定し未来を生きていく力を養える場所が大切です。子どもたちの未来に向かって、ティーンズビストロの活動は続きます。

みんなでにぎやかに「いただきます」

取材を終えて

 黒光さんたちの熱い想いがあふれる取材現場でした。ティーンズビストロの活動には、子どもたちの中に体験したこと、感じたこととして残り、ずっと支えになっていきたいという大人たちの願いがこめられていると感じました。

ティーンズビストロ

連 絡 先
尼崎市社会福祉協議会 地域福祉推進部
立花むすぶグループ
電話:06-4950-5007

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