笑顔輝く共生のまちづくり−「東久代むつみ産直市場運営委員会」

“笑顔”と“共生のまちづくり”につながる取り組みをレポート

 「東久代むつみ産直市場」では、地元の生産農家の新鮮野菜を購入できるほか、ふらっと立ち寄って交流ができたり、子どもから高齢者まで世代を問わず楽しめる「納涼いちじく祭」を行ったりしています。

地域や世代の枠を越えてつながる地域づくりへ

地域交流の拠点になる“市場”

 大阪国際空港(伊丹空港)の航空機騒音対策における移転補償事業により、地区住民が3分の1以下に減少した川西市「東久代むつみ地区」。スーパーマーケットなどの生活利便施設も廃業や移転をしてしまいました。少子高齢化や地域コミュニティの希薄化が進む中、自治会役員は「買い物難民」対策の一環として、平成29年4月、「東久代むつみ産直市場(以下「市場」)」を自治会事業に位置づけました。現在、市場の運営は、当時の自治会長であった安芸宏美氏が代表を務める「東久代むつみ産直市場運営委員会」が行っています。
 「市場」は、毎週土曜日の午前8時~10時に開催しています。地元の生産農家にご協力いただき生鮮野菜や地場果物が並ぶほか、近隣の製造事業者による豆腐やパン、西宮市卸売市場から当日仕入れた食材もあり、開催時間の前から地域の方が楽しみに訪れます。
 また、販売スペースの近くに交流テントを設け、買い物に来た方や地域の方が気軽に立ち寄れる自由な交流の場をつくりました。市外や県外からも人が集まるようになり、地区という垣根を越えた交流の場となっています。

大人だけでない多世代の交流の場に拡大

 当初は「買い物難民」対策の一環として始まった「市場」ですが、今では地区を超えた交流の拠点であり、地域活性化や地域課題の改善などにもつながっています。中でも、年に1度開催する「納涼いちじく祭」は、多くの人に楽しんでいただけるイベントです。子どもたちが楽しめるよう「手持ち花火あそび」や「お菓子袋プレゼント」などを企画し、子育て世代の交流の場にもなっています。
 今、地区近隣では、保護者が就労などで家庭を留守にしている間に子どもを保育する「留守家庭児童育成クラブ」への利用希望者が増加し、定員が超過しているという課題があります。運営委員会では「市場」の場所を活用して、将来的に「子ども食堂」を開設するなど、子どもの放課後の居場所づくりも検討しています。
 地域交流に世代や地域の垣根をつくらず、地域の活性化に尽力をされている「市場」の活動に今後も注目です。

多くの人が集まる、年に1度の「納涼いちじく祭」
いろいろな食材が並ぶ「市場」の様子

取材を終えて

 取材の場にたくさんの方がご同席いただき、安芸代表の想いに共感し一緒になって市場を盛り上げている様子がよく分かりました。住み慣れた自分の好きなまちだからこそ、周囲を巻き込みながら地域を盛り上げ、取り組みを懸命に考え実践している安芸代表や皆さんの姿に感銘を受けました。

「東久代むつみ産直市場運営委員会」

場所
川西市東久代1丁目630-1 東久代自治会 東久代むつみ会館内
団体代表者
安芸 宏美
協賛
「東久代むつみ自治会」
会長
錦 操

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