2022年5-6月号
“笑顔”と“共生のまちづくり”につながる実践をレポート
日本に暮らす外国人は約280万人とされ、今や外国人との共生は、まちづくりを考える際の重要なテーマです。今回は、国際交流と多文化共生のまちづくりを目指して平成元年から活動する「三田市国際交流協会(以下、「SIA※」)を紹介します。
※ SIA:Sanda International Association
SIAは、三田市とブルーマウンテンズ市※1との姉妹都市提携を機に設立され、当初の活動は、国際理解や親善を趣旨とした草の根の交流や広報が中心でした。
やがて日系人など市内に暮らす外国人の増加に伴い、支援の一環で日本語教室「日本語サロンさんだ」をスタート。日本語教室では、顔なじみになるにつれてさまざまな相談を受け始め、平成13年に外国人相談窓口を設けました。
SIAの相談窓口には、決まった曜日にゴミを出す習慣が無い国から来た人が直面した近隣トラブルや、日本人との離婚で在留資格の取り消しを心配したケースなどが寄せられ、外国人が直面しがちな課題が見えてきました。また、理解しやすい「やさしいにほんご」を活用したコミュニケーションや、文化・習慣の違いを理解する大切さも見えてきました。
※1:オーストラリア南東の自然豊かな都市
令和2年以降、新型コロナウイルスの影響で孤立し、経済的に影響を受けた外国人は少なくありません。SIAに多くの相談が寄せられた一方、三田市社協の窓口にも生活困窮をはじめ、さまざまな生活上の課題を抱えた外国人が訪れ、どのような支援が可能かを探っていました。
そのような時期を経た今年3月、公益財団法人PHD協会とSIAの主催で、分野横断で外国人支援を考える「社会福祉×多文化共生連携セミナー」を開催しました。セミナーの企画や準備を通じて、SIAの「外国人とのつながりや相談窓口の経験」と、社協の「福祉の専門性と支援ネットワーク」、相互の強みを生かし合えたらという気運が高まりました。この流れからSIAと社協は、一緒に外国人への支援を検討する場を4月から定期的に設けています。また、セミナー参加者や多文化共生に興味がある人・団体を含めた交流会や講演会、視察なども予定しています。
SIA副会長の寿賀素子さんは、「外国人は地域で共に暮らす存在。外国人が暮らしやすいまちを協働で目指すことで、三田がみんなに暮らしやすいまちになれば」と地域の今後の姿を思い描きます。
日本の大学生と交流しながら、
外国にルーツのある子どもたちが、
自国をPRするポスター作り
外国人の支援を語り合った
「社会福祉×多文化共生連携セミナー」
外国人に優しいまちは、みんなにとって優しいまちです。言葉や文化の違いを認め合い、困りごとを受け止められる地域づくりに向けたSIAと市社協の協働の今後が楽しみです。
三田市国際交流協会
三田市社会福祉協議会