笑顔輝く共生のまちづくり – 兵庫県立尼崎小田高等学校

“笑顔”と“共生のまちづくり”につながる実践をレポート

 兵庫県立尼崎小田高校(以下「小田高校」)では、地域での防災・減災イベント、サロン活動や見守り訪問に力を入れています。今回は、尼崎市の小田地区で住民と共に進めている高校生の活動を紹介します。

地域に安心と笑顔を生み出す、高校生の取り組み

被災地への訪問から活動をスタート

 平成28年、小田高校の看護医療・健康類型の生徒たちは、熊本地震の被災地への訪問を機に、地元である小田地区での防災・減災活動が欠かせないと考えました。
 生徒たちは、住民インタビューから自ら避難できない「災害時要支援者」の存在に気づき、また、授業で学びを深めながら、防災・減災を身近に感じてもらうイベント「小学生への防災出前授業」や「減災フェス」を企画・実施しました。これらには遊びの要素も取り入れつつ、毎年、日頃の備えや要援護者支援を地域住民と共に考えています。
 さらに、平成31年からは週1回住民が集う「あまおだサロン」の運営も自ら始め、顔の見える日常の関係づくりに取り組むなど、普通科の生徒も含む約90名が「あまおだ地域応援隊」の名で活動してきました。

遊びの中から地域と関わるきっかけづくりを行う

コロナ禍でも、交流と協働で地域に元気を

 コロナ禍で、高齢・障害者施設で行っていたボランティア実践の授業ができなくなりました。そこで尼崎市社協支部が仲介し、昨年9月には「要支援者見守り・支え合い事業」が始まりました。これは、市と小田高校が協定を結び、生徒が民生委員と同行して孤立しがちな高齢者宅を訪問する、市内初の取り組みです。
 訪問を受けた高齢者からは、「普段話せない年代の子と身近に触れ合えて嬉しい」と喜ぶ声が寄せられ、生徒たちからは、地域との交流を通じて自身の進路と向き合ったという声もあがるなど、高齢者の元気と生徒の成長につながっています。コロナ禍でつながりの希薄化が危惧される中、学校、行政、社協、地域が連携し、小田地区には活気と笑顔が生まれています。
 また、同校の卒業生たちも、今年、市社協の協力も得てボランティアサークル「VO-ODA(ボーダ)」を発足。中学生への学習支援に加え、今は、高校生が活動しにくい時間帯を中心にした高齢者への見守り活動に向けて動きだしています。
 「あまおだ地域応援隊」を見守る、同校の難波滋先生は「学校が地域の拠点となり、活動を広げながら多くの市民とつながりたい」と、学校を核に地域を元気づけようとする今後の展望を語ります。

民生委員も交えた訪問では、何気ない会話からニーズをくみ取る

取材を終えて

 学校周辺には小田高校の卒業生が多く住んでいて、生徒たちを後押ししてくれる温かい雰囲気があります。生徒の頑張りが地域住民の共感を呼び、共に地域を良くしたいという助け合いの相乗効果が強く感じられました。

兵庫県立尼崎小田高等学校

所在地
尼崎市長州中通2-17-46
ホームページ
https://amagasakioda.ed.jp

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