笑顔輝く共生のまちづくり−「NPO法人あっとオーティズム」

“笑顔”と“共生のまちづくり”につながる取り組みをレポート

 4月2日は「世界自閉症啓発デー」(4月2日~4月8日「発達障害啓発週間」)です。NPO法人あっとオーティズムは、自閉スペクトラム症のシンボルカラーである青色で、各地のランドマークをライトアップする啓発活動を全国に広げています。

自閉スペクトラム症の理解と支援を広げる「ライト・イット・アップ・ブルー」

始まりは神戸市内3ヵ所から

 自閉スペクトラム症をはじめとした発達障害への理解と支援を求める「ライト・イット・アップ・ブルー」の活動は、2010年(平成22年)にニューヨークの「autism speaks」という団体から世界中に呼び掛けられました。当時、小学生の自閉スペクトラム症の子を育てていた佐伯比呂美(さえきひろみ)さんは、インターネットで活動を知り、海外の世界遺産や雄大な自然が青色にライトアップされる美しい光景と啓発の手法に感動しました。
 国内ではまだ実施されておらず、友人と任意団体を立ち上げ、企画書を作り神戸市内の企業に協力を求めたところ、平成23年4月に実施の目途が立ちました。
 その目前の平成23年3月、東日本大震災が起きました。日本中がライトを照らすことに抵抗がある時期でしたが、「報道で発達障害の子どもがいるために周囲に気を遣い避難所へ行けない家族がいると知りました。こんなときだからこそ応援の気持ちを伝えたい」と実施を決意。能福寺の兵庫大仏など神戸市内の3ヵ所が、自閉スペクトラム症へ思いを寄せてライトアップに協力してくれました。

能福寺兵庫大仏前での集合写真

全国に広がる活動の輪

 活動開始時は、英語の情報しかなかったため、活動内容など日本語に訳してポスターやホームページを作りました。また、全国各地のタワーや名所を訪問するなど、地道な活動を続け協力者を増やしてきました。厚生労働省とも連携して情報発信を続けています。
 さらに、全国の個人や団体に協力者を拡げ、チラシや風船などの資材を送付したり、ライトアップの写真をWEBやSNSで使いやすいようにツール化したりするなどしています。
 神戸市内3ヵ所からスタートした活動は、令和5年4月には北海道から沖縄まで全国400ヵ所を超えて広がりました。

知ってもらうことで理解を広げる

 自閉スペクトラム症の特性は多様で、見え方や聴こえ方など五感の一部または全ての感覚に特異性があると言われています。必要な情報を選択することが困難で、次の行動が予測できず不安の中で生活をしています。「環境の配慮や温かい見守りが、本人や家族の安心感につながります。また、早期に療育により特性を理解することで、本人が生きやすくなることもあります」と佐伯さんは話されます。
 今後も「ライト・イット・アップ・ブルー」の活動により、自閉スペクトラム症の理解と支援を広げていきます。

昨年の啓発チラシ

取材を終えて

 お話を伺い、活動の中で出会った方々への感謝の思いと一つ一つのつながりを大切にされている様子が伝わってきました。今後も全国規模で活動を続けていくあっとオーティズムの活動に注目です。

NPO法人あっとオーティズム
(ライト・イット・アップ・ブルーJapan 実行委員会)

連 絡 先
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