2024年1-2月号
共生のまちづくりに向けて市町社協が関わるさまざまな福祉活動を紹介します。
佐用町の「Full House(以下、フルハウス)」は、令和5年8月に始まったばかりの子ども食堂です。おなかも心も満たされる、ほっこりする居場所を目標に、さよう子育て支援センターで小中学生とその保護者を対象に開催しています。最初は数人程度だった参加者も、5回目の実施では定員の20人が予約でいっぱいになっています。
フルハウスを立ち上げた中野裕美(なかのひろみ)さんは、町内でまちの子育てひろばコーディネーターや家庭児童相談員として働きながら、子どもに関わるボランティア活動もしていました。生活困窮やひとり親の世帯、ヤングケアラーの実情に触れ、支援に携わる中で「子どもの成長を支える地域活動をしたい」と思いを膨らませ、定年退職を機に子ども食堂を始めました。運営の協力を呼び掛けたボランティア15人の中には、中野さんのボランティア仲間である調理員や保育士、管理栄養士、ケアマネジャーも参加しています。また、フルハウスの開催は町役場の防災行政無線で広く呼び掛けられるとともに、町社協や福祉専門職から個別に声掛けされています。
月1回、土曜日の11時30分から13時30分にオープンし、ちらし寿司やカボチャサラダなど子どもの好きなものを、栄養のバランスを工夫しながら提供しています。食材は、地域の方から寄せられた野菜やお米のほか、町社協のフードドライブに寄付のあった調味料や油、お菓子などを活用しています。大人の参加者には100円以上の寄付をお願いしています。これには、寄付をすることで自分たちも子どもたちを支える一助だと思ってもらいたい、という思いが込められています。「フルハウスの活動を通して、皆が地域の子どものことを考えて、支えてくれていると実感しています。佐用町の人たちの温かさを改めて感じています」と中野さんは笑顔で語ります。
フルハウスは、食事以外にもボランティアが星座や星の成り立ち、宇宙の話について映像を交えて教えてくれたり、自由遊びをしたりして楽しい時間を過ごせる場所になっています。いずれは子どもたち自身にも食事や健康について考えてもらえるよう、栄養や感染症などについて学ぶ機会を作っていくことも検討しています。
フルハウスの立ち上げから関わってきた町社協の担当者は「フルハウスは、町内唯一の子ども食堂で大切な居場所。情報提供やフードドライブなどを通じて、これからも活動をサポートしていきたい」と話します。
中野さんは「今は活動が始まったばかりで課題もあるけれど、ゆくゆくは子育てに不安や困りごとを抱える親子も含め、誰でも来られる場所にしたいと考えています。今後は拠点を増やし、(合併前の)旧町すべてで子ども食堂を開くことが夢です」と目標を語ってくれました。
ボランティアによる栄養バランスを考慮したメニュー
佐用町社会福祉協議会
TEL: 0790-78-1212
http://www.sayo-wel.or.jp