あなたのまちの福祉活動 − 宍粟市社会福祉協議会

 共生のまちづくりに向けて市町社協が関わるさまざまな福祉活動を紹介します。

聴覚障害者も地域の人も、ともに笑顔がはじけるまちに

 令和4年10月、宍粟市内で初めてとなるポップコーン専門店「ヘレン・ケラー」がオープンしました。聴覚障害のある方(以下、「ろうあ者」)が接客をする店内は、手話が飛び交い笑顔がはじけます。お店を通じた地域の方々の交流とろうあ者が教える手話教室の取り組みを紹介します。

ろうあ者とともに働くお店をオープン

 お店の代表を務めるのは、手話通訳者で40年以上にわたり市内外でボランティア活動を続けてきた中尾さん。東京にろうあ者が店主の居酒屋があることを知り、「いつか手話が飛び交い、聞こえる聞こえないに関わらずみんながつながり合える場所を作ることが夢だった」と話します。コロナ禍で店舗の空きが出たことを機に、交流のあったろうあ者3名と健聴者3名で運営する「ヘレン・ケラー」を開店しました。
 ろうあ者のスタッフは、シフト制で週3日ほど就労し、ポップコーン(約10種類)やスイーツを作って販売します。スタッフの一人は「初めはポップコーンづくりや店番、接客に不安があった」と振り返りますが、「今では形の良いポップコーンが作れ、お客さんと楽しくコミュニケーションを取れるようになった」とにこやかな表情と手話で教えてくれました。
 毎月約400~500袋を売り上げるポップコーンは、可能な限り有機栽培のコーンを使用しており好評。学生や子ども連れの家族、高齢者ら多くの方が来店するほか、ろうあ者の来店が今年1月から延べ140人に上るなど、お店がいろいろな方との出会いと交流の場になるとともに、暮らしの場面で声を掛け合う関係づくりにつながっています。市社協では、生きがいや社会参加につながる情報として“地域の宝物”リストに掲載したり、広報紙で紹介したりしています。

ろうあ者が先生となる手話教室

 お店のもう一つの特徴は、ろうあ者がボランティアで教える手話教室。「生き生きとした手話を当事者本人から学ぶことが大事」と、週2日(火・土曜日)、無料で開講しています。手話と筆談で学ぶ手話教室には、地域住民をはじめ、手話をろうあ者の対応や接客に生かしたいと、うどん屋やコンビニエンスストアの店員ら約10名が通っています。「手話を理解してもらえると嬉しい。手話でのおしゃべりが楽しいので続けていきたい」と語る先生役の小瀬さんの手話にも熱が入ります。
 中尾代表は、「お店と手話教室を通じて地域の中にろうあ者への理解と手話が広がってほしい」と語ります。最近は、地元農家の有機野菜の販売や市内のNPO法人と連携が始まり、次なる展開に期待が寄せられます。

「アイ ラブ ユー」の手話で歓迎

地域の方が来店。顔なじみになり、
にこやかにコミュニケーションをとります

 お店の営業時間は10時30分~16時30分(定休日は木・金曜日)。
 メープルやキャラメルなどの甘い味のほか、野菜コンソメやカレーなどのおつまみ系の味も取り揃えています

宍粟市社会福祉協議会
TEL:0790-72-8787(代)
https://www.shiso-wel.or.jp/

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