あなたのまちの福祉活動−稲美町社会福祉協議会

 共生のまちづくりに向けて市町社協が関わるさまざまな福祉活動を紹介します。

大人も子どもも歩いてふらっと寄れる場所

 “ここち”は、地域の人が誰でも集まり食を通じて交流できる場をつくる住民グループです。誰かの「あったらいいな」の声を大切に、地元の農家や企業、ボランティアなど地域のさまざまな人たちと一緒に居場所をつくる取り組みを紹介します。

誰かの「あったらいいな。ないならやってみよう」から活動がはじまる

 ここちの立ち上げのきっかけは、「給食のない日にお昼ごはんが食べられるところがあったらいいよね」という子育て中の母親同士の会話でした。「地域になければ自分たちでつくろう。楽しいことしたいね」と、自治会や子育て支援団体、企業、社協などを訪問し、活動に必要な場所や食材、資金を確保しました。令和2年3月、コロナ禍ではあったものの、地域の誰もが自由に出入りできる「開放の場」としてスタートしました。
 現在、くにおか公会堂を主な拠点として月に1回程度、不定期に地域で食堂を開いています。当初は、昼間の時間帯に開催し約50名の参加がありました。その中で、「晩ご飯が食べられたらいいな」という親や子どもの声を聞き、月1回、夜にも活動日を設けました。開催の告知は主にInstagramで行い、おおよその開始時刻とその日のメニュー、どなたでもどうぞ、という内容が投稿されます。その投稿が、親や他の子育て支援団体による口コミを通じて拡散され、夜に開かれるときには、約200名の人が集います。
 それぞれの方が思い思いの時間に来て交流し、心地よい雰囲気の中で町の人同士のつながりが広がっています。代表の市野加奈子さんは、「食を通じてたくさんの人が来てくれるようになり、中には不登校の子の親同士が、ここちでご飯を食べながら悩みや思いを分かち合っている場面もあります」と最近の様子と出会いの一コマを語ります。

ここちではみんなが主役に

 ここちでは、当日の準備に明確な役割は決めていませんが、子どもから大人まで、そこにいる人が自然とお手伝いをします。近所の方が、手伝おうと準備の様子を見に来てくれることもあります。コロナ禍で活動が休止になった調理ボランティアの方も加わって力を発揮してくれるなど、さまざまな人が参加しています。
 「みんなでできることを分担しながら力まずに取り組んでいます。ここちが誰でもふらっと立ち寄れる場所になって、さまざまな価値観との出会いの場になったらうれしいなと思っています」と市野さんは話してくれました。活動開始から3年を機に子どもたちから「ここちフェスティバルをやりたい」と声もあがっています。みんなの「やりたい」を大切にしていくここちの活動に今後も期待が寄せられます。

夏休みは大人も子どももみんなで流しそうめんを楽しみました
農家や企業、社協などから提供された地元の
食材でつくられたここちのごはん

稲美町社会福祉協議会
TEL: 079-492-8668
http://www.inami-shakyo.or.jp

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