2022年3-4月号
“笑顔”と“共生のまちづくり”につながる、さまざまな団体の実践をレポート
加東市の窪田地区(自治会)では、10年前から毎年、全戸を訪問調査し、水害などの緊急時に備えて住民台帳を作成しています。コロナ禍でも調査を続け、その結果を生かして住民同士の新たな交流の場づくりを進めています。
加古川と千鳥川に隣接する窪田地区では、平成16年の台風23号を始め大雨の浸水被害があるたびに、区長などが避難の呼び掛けや状況確認に追われてきました。
今から10年前、市に勧められて災害時の要援護者台帳の作成した際、「各戸に“いる人”に加え、緊急時には遠方の家族の情報も不可欠」と考え、地区独自の様式を使って詳細な情報の把握を進めました。調査項目は、家族構成や連絡先、かかりつけ医、近隣の手伝いの要否など多岐にわたります。毎年4月に隣保長が各戸を訪ねて調査票を回収し、地区役員や民生委員が一覧表を保管しています。
約110戸・270人が暮らす同地区。以前は、調査結果を台帳にして緊急時に備えるだけでしたが、長年の調査からは、高齢化や独居の方の増加など地区の変化が見えてきました。これらの課題がありながら、令和2年以降のコロナ禍では回覧板を中止するなど、住民同士も交流がしづらく、隣近所でお互いの姿が見えにくくなりました。
そのため、同地区では、住民に自分たちの“地域の今”を知ってもらおうと、隣保や年齢層別に調査結果を分析して住民と共有しました。すると、「小さい子どもたちが地区にいることを知ったが、会う機会が無い」など、あらためて地区での交流を求める声が寄せられました。
盆踊りなど従来の行事ができない状況は続きますが、地区では新たな活動が生まれました。外出を控える高齢者を念頭に、「街角体操」として始めたラジオ体操、グランドゴルフなど屋外の活動を増やしました。これらの活動には誰でも参加できるよう案内し、子どもも交えた世代間交流が進む工夫もしています。
区長の小東さんが、「例年の活動にこだわらず、状況に合った良い活動を模索していきたい」と語るように、調査の継続とともに、コロナ禍でも住民同士の顔の見える関係づくりを目指した活動が続きます。
コロナ禍で生まれた活動の一つ
~子どもと一緒に頭の体操~
グランドゴルフは、3世代で交流できる機会になっています!
調査結果の台帳は、災害時だけでなく体調不良で倒れた人の通報にも役立ったそうです。
緊急時に活用するだけでなく、地区の状況を共有し、普段の暮らしを住民みんなで考えるためにも役立っています。
加東市窪田地区(自治会)