キラリ★社会福祉法人 – 稲美町社会福祉法人連絡協議会(ほっとかへんネット稲美)

 暮らしを支える地域公益活動を紹介します。

実務者会議では、町内の課題などについて活発な協議が行われます

住民の困りごとや制度のはざまの課題を“ほっとかれへん”

 「稲美町社会福祉法人連絡協議会(以下、ほっとかへんネット稲美)」は、町内にある全ての社会福祉法人(9法人)が参画し、令和4年7月に設立しました。
 今回は、具体的な体験から制度の狭間の課題への気づきが生まれた取り組みを紹介します。

実務者会議で具体化される課題とほっとかへんネットの方向性

 ほっとかへんネット稲美は、令和4年7月に設立し、同年10月から、実務者会議にて、具体的な活動に向けた協議を始めました。会議のメンバーは、利用者と直接関わりのある職員や利用者の家族・地域住民と接する機会のある職員とし、各法人からの推薦で選出しました。
 1回目の会議では、「町内で起こっている課題」について洗い出しました。「8050問題や育児困難、高齢、障害などの種別を超えた連携が必要なケースが多い」といった個別課題に加え、「相談窓口に来ること自体にハードルがある」といった支援の仕組みに関する課題などが共有されました。
 2回目の会議では、共有された課題に対し、法人として何ができるのかを話し合いました。「制度の狭間の課題については、法人内で気づける職員を増やすことが大切なので、職員の研修が必要」「ニーズをキャッチした後、つなぐ先を明確にして、支援に結びつける仕組みが重要」といった意見が出され、ほっとかへんネット稲美の活動の方向性や視点が確認されました。

活動の中で芽生えた気づき

 そのような中、地域包括支援センターから町社協に、団地の3階に住む独居高齢者の支援について相談が入りました。
 病気のため階段の上り下りが困難で、団地の1階への引っ越しを希望されているが、経済的に厳しい上に、所持品が多く支援に困っているとのことでした。社協職員がほっとかへんネットの実務者会議で相談したところ、家財の片付けと荷物の運搬をサポートすることになりました。
 活動は「はざま支援をほっとかへんネット」と命名し、普段から高齢者本人に関わる支援者と、ほっとかへんネットのメンバー2名、社協職員が訪問して、衣類などの整理や廃棄を支援しました。
 参加したメンバーからは、「これまでは家族が担ってきたような、制度の枠におさまらない困りごとが多くなるのでは」という狭間の課題への気づきが芽生えました。
 令和5年度からは、法人職員同士が普段の支援の中で気づいた「気になる」を共有するメーリングリストを作りました。
 また、“狭間の課題”をテーマに、埋もれがちなニーズに気づき、つないだり関わったりしていく職員を増やすことを目指した研修会を実施する予定です。
 設立したばかりのほっとかへんネットですが、実務者同士のつながりの深まりによって、住民の困りごとを取りこぼさないネットワークに発展していくことが期待されます。

ほっとかへんネットのメンバーと独居高齢者の支援の様子

ほっとかへんネット稲美

事務局:稲美町社会福祉協議会

TEL:079-492-8668

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