セルフヘルプグループのリアル – NPO法人 ピアサポートひまわりの家

 県内に拠点を置いて活動する自助グループを紹介します。

NPO法人 ピアサポートひまわりの家

 「当事者たちの経験や思いこそ宝」をスローガンに、高次脳機能障害※1やひきこもりなどの生きづらさを抱える当事者同士の触れ合いで生まれる“内なる変化”を大事にした活動や事業について、理事長の松本むつみさんと事務局長の大路貴広さんに伺いました。

※1 高次脳機能障害:事故や病気などにより脳に損傷を受け、後遺症として記憶、注意、社会的行動等の認知機能が低下した状態。外見からは障害が見えにくく、対人関係にも影響を及ぼしやすいともされる。

一緒に食事をすることも、メンバーにとって大切な時間

気軽に立ち寄れるよう、市街地に立地する居場所「歩歩( ぽぽ )」

Q1.
 グループを立ち上げたきっかけは

A.
 高次脳機能障害の当事者・家族のグループ「ひまわりの会」との出会いから出発し、当事者発信で障害特性を地域に知ってもらうことなどを目的に法人化してカフェを開いていました。
 その後、あるひきこもりの女性が母親とカフェの店先に来られたことで私たちの活動の幅が広がりました。当初は車から降りられず様子を眺めるだけの彼女が、高次脳機能障害の方がコーヒーを入れる姿に接する中で徐々に変化し、「私も役に立ちたい」とカフェを手伝うようになりました。当事者同士の触れ合いに秘めた大きな力を再認識し、以降は特定の障害に拠らない活動をしています。

Q2.
 現在どのような活動に力を入れていますか

A.
 生きづらさを抱え、ひきこもりがちな人たちの居場所「歩歩(ぽぽ )」での活動です。そこではゲームや漫画など好きなことを楽しめますし、家族同伴でも、一人でも過ごせます。安心できる環境で、仲間や経験者でもあるピアサポーターと触れ合いながら、少しずつ自己実現に向けた思いが生まれることがあります。これこそ当事者同士だから芽生える変化でありピサポートの力です。
 この前向きな変化に寄り添えるよう「地域活動支援センター」も立ち上げ、各々が得意なことを生かした創作活動などに打ち込み自信をつけています。また、希望に応じて就労を支援しています。

Q3.
 社会に望むことやグループの目標は何ですか

A.
 さまざまな要因でひきこもってしまった人たちは、「このままではいけない」と思いつつも現状を抜け出せず、深く悩んでいます。このことが社会に理解され、受け入れられたらと思います。
 高次脳機能障害やひきこもりの方などが抱える生きづらさは、制度だけでは解消されません。「ひまわりの家」は、自分らしく地域で暮らしていくための拠点として、何よりも当事者同士の触れ合いと分かち合いを大切にしながら、一人一人が元気になれる活動をしていきたいです。

グループの概要

名称
NPO法人 ピアサポートひまわりの家
所在地
宍粟市山崎町段194番地1
HP
http://npohimawarinoie.net/

2021年9-10月号TOP