2021年7-8月号
県内に拠点を置いて活動する自助グループを紹介します。
ひきこもりや不登校を経験した当事者による自助グループ「グローバル・シップスこうべ」(通称:ノア)。
支援者が用意した居場所に集まった当事者たちが、自らグループをつくり、育んできた経緯や活動にかける思いなどを代表の森下徹さんに伺いました。
Q1.
グループを立ち上げたきっかけは
A.
平成18年にオープンした、ひきこもる若者を支援する「ISIS(イシス)神戸」に集まった当事者ら6名が、任意団体をつくったのが始まりです。ひきこもりに関する居場所も情報も乏しかった当時、ISISでの体験発表や交流などを重ねる中で、さらに課題に向き合い取り組みたいと自らグループを立ち上げる機運が高まりました。
その後、ひきこもりをめぐる課題を社会に伝えようと企画したシンポジウムなどを経験し、平成21年に「グローバル・シップスこうべ」としてNPOの認証を受けました。団体の存在を確かなものにする面でも法人化は有効だったと感じます。
Q2.
現在どのような活動に力を入れていますか
A.
活動当初、情報不足に直面した経験から、私たちが運営管理する情報ポータルサイト ※1 には各地の家族会や支援機関などの情報の掲載を充実させています。
メンバー同士の月1回のミーティングは、コロナ禍の今はオンラインが主流ですが、実際に会えなくても“つながれること”を大事にしています。従来のミーティングに加えて、昨年は県の事業を受託し、オンライン会議アプリを活用した語らいの場を2カ所運営しました。
「仕事づくり」も大事なテーマで、例えばWEB関係の仕事に取り組むメンバーもいます。コロナの影響でオンライン会議の導入やWEBサイトに関する依頼が増え、その対応でメンバーは報酬を得ています。
※1
https://hyogo-hopstepjump.info/
(兵庫ひきこもり情報ポータルサイト)
Q3.
社会に望むことやグループの目標は何ですか
A.
何かを社会に望むより、自分たちにできることを探して取り組むのが今の私たちの活動スタイルです。活動を通して社会とつながり、理解を得たいと思っており、その意味では先にも触れた「仕事づくり」は今後も大切にしたいです。
ともすればひきこもりは、医療・福祉分野で治療や就労訓練の支援対象として捉えられますが、「自分なりのペースで生き方を模索している人もいる」ということを、支援者や家族も心の片隅に置いてほしいと感じます。