2023年7-8月号
“笑顔”と“共生のまちづくり”につながる取り組みをレポート
「まんまるあかし」では、在住外国人の方や外国にルーツがある方も安心して暮らせるよう日本語学習の支援をしたり、多文化交流の講座やイベントを行ったりしています。
外国人や外国にルーツがある方にとって、言葉や生活文化の違いは、地域での孤立や生活上の不安につながります。困りごとがあっても、言葉の壁などから制度につながることができない方やその子どもたちを支援したいと考えた、久保美和さんが日本語学習支援や学校の宿題などの教科学習支援を行う“みらいのきょうしつ”を明石市内ではじめたことが「まんまるあかし」のはじまりです。平成27年に週1回からはじめた取り組みは、口コミで参加者が増え、現在では約30人の子どもたちが市内外から集まるようになりました。
子どもたちのルーツは、中国、フィリピン、インド、ネパールなどさまざまで、母国語も異なります。“きょうしつ”ではみんなの共通言語である日本語でコミュニケーションをとりますが、子どもたちにとっては、まだ勉強中の日本語を気楽に話すことができ学校とは違ったほっとできる居場所ともなっています。
“きょうしつ”では日本語や学校の宿題の支援と合わせて、学校から配布されたお便りを確認するなど、日本語の理解に困っている保護者の支援も行っています。家族で外国から来た世帯、日本で生まれたけれど両親は日本語を話せない子ども、流暢に話しているようでも読むことができない子どもなど、状況は様々です。一人一人に合わせた丁寧な支援が必要となります。
「まんまるあかし」のホームページでは、市の広報誌やハザードマップなどの生活に必要な情報を多言語で翻訳して掲載しています。また、文化の違う慣れない国で子育てをしているお母さん向けの「外国人のママの会」も行うなどの講座やイベントも行っています。コロナ禍では、ワクチンの予約方法がわからないという相談もありました。
久保さんは「さまざまな文化を身近に感じてもらう機会を増やすことで、自然に異なる文化を受け入れることができるのではないか。外国籍の方々とも協働して、保育園や幼稚園での国際理解講座にも力を入れていきたい」と話してくれました。教室に通っていた人やその友人、地域の人など一緒に活動してくれる人は、どんどん広がっています。これからも言葉や文化で壁ができない、みんなが暮らしやすい地域を目指す「まんまるあかし」の活動に注目です。
スタッフの方々は「大切なのは語学力より、相手を理解したいという思い」と、ジェスチャーや短い言葉で、子どもたちとコミュニケーションをとっていました。難しく考えすぎずに、目の前の人と分かりあおうという姿勢と多文化に触れ合う機会を地域で作る大切さを感じました。
特定非営利活動法人多文化センター まんまるあかし