セルフヘルプグループのリアル – NPO起立性調節障害 ピアネットAlice

 県内に拠点を置いて活動する自助グループを紹介します。

NPO起立性調節障害 ピアネットAlice

 全国の不登校児童・生徒の約3~4割に症状がみられるとも言われる起立性調節障害※1。インターネット上でブログの交流から親の会を組織化し、仲間とともに活動を進める代表の塩島玲子さんにお話を伺いました。

※1起立性調節障害:起立時の血圧低下や倦怠感、頻脈などを伴う、主に思春期に発症する自律神経機能不全の一つ。
          重症化すると長期に及び不登校や引きこもりを起こす場合もある。

学校や行政関係機関などで講演活動を行い、起立性調節障害への理解を広げています
カフェでは、親だけでなく起立性調節障害の経験者が参加して体調の変化や当時の気持ちを話してくれることもあります

Q1.
 グループを立ち上げたきっかけは

A.
 運動部で元気に活動していた息子が、朝になると体調が悪くなり中学校に登校できない日が増えました。夕方には「明日は学校に行く」と言うのに、朝になるとなぜか起きられない。原因不明の体調不良に不安を抱え、なんとか学校に行かせようと躍起になりましたが、ようやく病院で起立性調節障害と診断されました。
 当時、あまり知られていない病気で相談できる人もおらず、わが子の病気を受け入れようと葛藤する中、平成16年にブログを立ち上げました。起立性調節障害についてもっと知ってもらいたい、同じ悩みを抱える親とつながりたいという思いからでした。翌年開催したオフ会を契機に集まりを続け、グループを立ち上げました。

Q2.
 現在どのような活動に力を入れていますか

A.
 毎月1回の「カフェAliceの会」と偶数月に開催するオンラインでの親の会です。当事者の多くが学生で、体調はもちろん通学や進路に大きな不安を抱えています。「昼夜逆転しているのに医師から規則正しい生活が必要と言われどうしたらいいのか」、「学校に相談しても、留年を告げられるだけだった」など、いつ治るのかわからない不安を親同士で分かち合うことで心を軽くしてもらい、家では子どもと笑顔で接して欲しいと思っています。
 情報発信にも力を入れ、病気について理解してもらうための冊子を作り、全国の中学校に配布しました。今は、クラウドファンディングで賛同者を募り、朝の声の掛け方や部屋の環境づくり、ゲームとの付き合い方など、生活の素朴な疑問を親目線で答える「Q&A集」を作成しています。

Q3.
 社会に望むことやグループの目標はなんですか

A.
 グループ名は、身体が思うように動かず、まるで自分ではないような時間を過ごしながらも、目覚めたら(良くなったら)希望を持ち未来へ進む子どもたちを、物語の「不思議の国のアリス」に例えて名付けました。
 少し周りとタイミングが違っても、フリースクールや通信制の学校など、多様な学びの場がもっと選択しやすくなればと思います。
 病気が不登校の原因だと説明しても、「本人の頑張りが足りないのでは」と誤解されることもあります。家で休養している子、遅れて登校している子、どうか温かな見守りと理解をお願いします。これからも親の悩みを共有できる場づくりと、病気への理解を広める活動を続けたいと思います。

グループの概要

名称
NPO起立性調節障害 ピアネットAlice
親の会開催日
カフェAliceの会 毎月1回 13時半~16時半
活動場所
神戸市青少年会館(ハーバーセンター)
※偶数月にはオンラインで親の会も開催。詳細はHPを確認してください
https://pianetalice.mogmog.co
連絡先
pianetalice23@yahoo.co.jp

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