2022年11-12月号
共生のまちづくりに向けて、市町社協が取り組むさまざまな活動を紹介します。
高砂市社協では、若者のボランティア活動への参加のきっかけづくりとして「高砂高校生ボランティア育成事業(以下、「TKV」)」に取り組んでいます。今回は、事業の開始から今年で10年目を迎えたTKVの活動を紹介します。
高砂市社協は、市内の高校生が東日本大震災の被災地支援をしていたことから、そのボランティアへの意欲を地元の活動に向けてもらおうと、平成25年度にTKVを立ち上げました。
TKVでは、1年間で概ね8回にわたるプログラムを実施しており、初回のオリエンテーションでは、高校生にどのような活動をしたいかを尋ね、「やってみたい」「楽しみたい」という積極的な気持ちを共有します。また、2・3回目では、実際に活動する前に心構えや会話のスキルを学べるよう、傾聴や認知症に関する研修などを行っています。
今年度は、初回に「子どもに関わりたい」「誰かの役に立ちたい」という声があがり、子ども食堂など希望に沿った活動先を取り入れました。例えば、子ども食堂を訪ねた高校生たちは、食事の用意に加え、公園で小学生と一緒に遊んだり、宿題を手伝ったりするなど、子ども食堂の普段の活動では手が回らないことにも進んで取り組みました。
市社協のボランティアコーディネーターの田之畑亜希子(たのはたあきこ)さんは、「高校生の気持ちに寄り添ったプログラムにするのは大変ですが、意欲を大事にするからこそ無限の可能性を発揮してくれます」と語ります。
TKVの主な活動先として、従来は高齢者施設や認知症カフェなどがありましたが、コロナ禍で訪問が制限されて活動が難しくなりました。
しかしこれをきっかけにプログラムを見直し、今年度は「できる限りのことをやろう」と地域に入っていく活動を中心にしました。例えば、コープこうべの店舗で開催したスマホ教室では、高校生が特技を生かしながら、買い物ついでに立ち寄った地域の人たちとの交流が生まれました。高校生が地域に密着して活動することで、「若い人が関わってくれると元気が出る」という声も地域から寄せられています。
田之畑さんは、「子どもや高齢者などの分野にとらわれず、高校生が地域の多様な人とつながり、共に活動を進めることを目指したい」とTKVと地域の今後を展望しています。
ボランティアの楽しさと達成感の共有が高校生の意欲をさらに引き出し、地域を元気にする
高校生が地域のさまざまな人と関わり、地域を知ることで、地域への愛着の深まりにもつながるのだと気づかされました。
高砂市社会福祉協議会
TEL:079-442-4047
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