キラリ★社会福祉法人 – 加古川市社会福祉法人連絡協議会(ほっとかへんネットかこがわ)

 暮らしを支える地域公益活動を紹介します。

ほっとかへんネットに加入する法人の福祉避難所開設訓練の様子

ネットワークで広がる災害福祉支援

 ほっとかへんネットかこがわ(以下、「ほっとかへんネット」)では、行政と連携し福祉避難所開設訓練を実施。訓練をきっかけに始まった法人間の事業継続に向けた連携など、地域の災害福祉支援体制づくりについて紹介します。

訓練で定着した運営プロセス

 ほっとかへんネットでは、活動を模索する中で、全法人の共通課題として災害支援が浮かび上がりました。この頃、行政と法人・施設との間で福祉避難所の協定締結が進み、運営マニュアルも策定されたことから、実効性のある福祉避難所の運営体制の構築を活動の一つに位置づけました。
 令和4年度は、行政との協議を経て福祉避難所運営マニュアルの説明会を法人向けに実施。5年度には高齢者の入所施設をモデルに避難所開設訓練を行い、6年度には、重症心身障害児者の通所施設で訓練を実施しました。
 特に障害児者施設の訓練では、民生委員や利用者の家族も参加し、人工呼吸器の電源確保が命に直結する実情も共有しました。この障害児者施設は福祉避難所として協定が結ばれていませんでしたが、通園中の発災による帰宅困難に備える必要性から、自ら行政に協定の締結を提案。その重要性を行政も認識する契機となりました。
 訓練の積み重ねにより、まずは各法人がBCPに基づき安全を確保し、次に福祉避難所として地域に開放する段階的な運営プロセスが定まりつつあります。自法人の災害対応の点検にとどまらず、福祉避難所の運営をシミュレーションすることで、地域公益活動の意義や法人の使命を改めて認識する機会になっています。

種別を越えた支援の広がり

 この訓練をきっかけに、市内で活動エリアの異なる高齢と障害の法人が「事業継続連携協定」の締結に向けて協議を始めています。この協定により取り組むのは、被災した障害者の通所事業を、高齢者施設の空きスペースを活用して事業継続する仕組みづくりです。こうした協力体制は、種別の垣根を越え、地域で支え合う輪を着実に広げています。
 また、人的資源の面でも種別を越えた連携が広がろうとしています。保育所などの児童福祉施設は福祉避難所ではありませんが、災害時にはそこで働く保育士が市内の避難所のサポートに入るなど、もてる専門性を発揮することが期待されています。

広がるネットワークとこれから

 加入法人同士が平時から関係性を築き、協働して取り組みを重ねることが災害に強い地域づくりにつながります。
 今後は、参画する全41法人のつながりを丁寧な協議を通じてあらためて強化するとともに、地域住民や関係機関への発信を進め、他市町のほっとかへんネットとの将来的な広域連携も見据えながら、地域防災力の向上を目指します。

福祉避難所に避難してきた住民を法人職員が受け入れる訓練の様子

ほっとかへんネットかこがわ
事務局:加古川市社会福祉協議会
TEL:079‐424‐4318

2025年9-10月号TOP