あなたのまちの福祉活動−宝塚市社会福祉協議会

 共生のまちづくりに向けて市町社協が関わるさまざまな福祉活動を紹介します。

地域をつなぐ居場所づくり「クールシェアたからづか」

 宝塚市では毎年7~9月、市内の企業や福祉施設などの一部を、誰もが涼める場所(スポット)として開放するクールシェアに取り組んでいます。この取り組みが始まった経緯や携わる人たちの思いを紹介します。

涼む場所をきっかけに出会いや交流を

 令和4年度に市社協が策定した第7次地域福祉推進計画では、多様な居場所や拠点づくりが目標に掲げられました。計画の策定委員を務め、市内で建設業を営む(株)てらすの寺本さんは、何か地元に貢献できることがあればと、企業経営者や社協を交えて話し合い、その中で埼玉県熊谷市のクールシェアのことを知りました。
 クールシェアとは、猛暑が続く時季に、銀行や理美容室などの地元の商店、デイサービスセンターなどが営業時間中に建物の一部を開放し、誰もが立ち寄り涼める場として提供する活動です。これを宝塚でも実施しようと準備を進め、令和5年に「クールシェアたからづか」が始まりました。当初70か所だったクールシェアスポットも、協力企業が増えて今は約200か所が登録・開放されています。
 立ち寄る人たちのちょっとしたおしゃべりなど、クールシェアは小さな集いの場としても期待され、屋外で休憩するお年寄りに、子どもたちが「近くに涼める場所がありますよ」と声を掛ける光景も見られます。今年スポットに登録した佃煮屋の(株)さん志ょうや本家の根津さんは、「今年初めてこの取り組みを知り、地域のために自分たちにできることならと思い、スポットの登録やスタンプラリーの景品に協力することにしました」と話します。クールシェアにより、住民や企業、社協などのつながりの輪が広がっています。

地域を思う気持ちが協働の輪を広げる

 活動が広がった背景には、企業と社協の協働が築かれたことがあります。包装・梱包資材を扱う(有)太陽商会の武田さんは、「クールシェアの目的は利益ではなく、地域の活性化です」と語ります。また、活動をリードしてきた寺本さんは、「クールシェアで企業と地域の距離が近くなればと期待します。そして、地域のために奮闘する社協職員を応援したいです」と話します。
 業種は異なっても、地域のために行動するという共通点が企業間の協働意識を高めます。また、活動を積み重ねたことで企業と社協間の信頼関係も育まれました。
 宝塚では、地域に役立ちたいという企業の思いが、クールシェアとして具体的な形になりました。このような協働は、地域を今よりも良くする原動力につながるでしょう。

スポット登録する企業同士で意見交換
スタンプラリーなど参加しやすいよう工夫します

宝塚市社会福祉協議会
TEL: 0797-86-5000
https://t.shakyo.org/

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