2025年7-8月号
共生のまちづくりに向けて市町社協が関わるさまざまな福祉活動を紹介します。
たつの市では、住民座談会での話し合いを通じた「支え合いマップづくり」に、市内48の自治会が取り組んでおり、市社協がその支援に力を入れています。その中で今回は、片山小宅台(かたやまおやけだい)自治会の活動を紹介します。
「支え合いマップづくり」は、住民の居場所・交流の場であるサロンに参加できなかったり、地域で孤立しがちな気になる人について、住民が話し合い、地図に落し込むことで見守りにつなげる活動です。たつの市では平成27年以降、自治会単位で取り組まれるようになりました。
その一つ片山小宅台自治会は、市の中心近くに位置しながらも急な坂があり、崖崩れによる土砂災害が警戒される地域です。民生委員で地元のサロンを運営している辻さんは、平時の活動から感じた課題として住民間で地域の現状を共有し、支援が必要な人を予め把握して災害時に対応することが重要と考え、約1年前にマップづくりを呼び掛けました。
マップの作成を見据えて座談会を開くと、普段サロンに参加している人のみならず多くの地域住民が集まりました。「この人、たまにここで見かける」など、知っていることや気になる人のことを参加者が共有するに連れて、支え合いマップづくりへの機運が高まりました。数回の座談会を経て、支援が必要な人と地域との関わりが地図上に見える化され、マップが完成しました。

マップづくりを通して、サロンに参加できない人の事情や理由が見えたことから、何かできることがないかと話し合い、サロンでは絵手紙を書いて気になる人の自宅に投函する取り組みにも挑戦しました。
また、マップづくりは住民の課題意識を高め、困りごとを把握する住民アンケートや見守り活動にも取り組むようになったり、住民同士が話し合う機会も増えたことで、互いを知り、気に掛け合う関係も育まれました。一例として、座談会で顔見知りになり、ケガをした時の庭の水やりなどで助け合う関係も生まれたと言います。この成果は市社協の圏域協議体(※1)でも共有され、他の自治会の参考にされました。
活動で辻さんが大事にしたのは、「住民は同じ場所で暮らす仲間、家族のような存在」という思いです。同じ地域に暮らす人同士でも、年齢や生活歴はさまざまですが、何よりも話し合いを活動の基盤に据えたことが住民間の縁を深め、支え合う地域づくりを後押ししてきたと言えます。
※1 圏域協議体:日常生活圏域(中学校区)ごとに設置する、地域づくりを進めるための住民・関係者による協議・協働の場

たつの市社会福祉協議会
TEL: 0791-63-5106
https://tatsunoshi-syakyo.jp/