2024年5-6月号
このコーナーでは、地域福祉のキーパーソンや実践者・当事者らのエピソード・思いを紹介していきます。
明るく、前向きに
夫のふるさと神河町で結婚生活を始めました。知り合いもいない中、第一子を出産。町の子育て活動に参加し、周りのお母さんたちに声を掛けてもらい、助けてもらいながら子育てをしました。子育てではお母さん同士のつながりがとても大事だと思い、子育ての悩みをおしゃべりしながら、ちょっと息抜きできる場があればと「おしゃべりママ」活動を始めました。
そんな折、町から主任児童委員※の就任依頼があり、4期にわたり務めています。主任児童委員は、担当区域で活動する民生委員・児童委員と連携し、また学校や子ども家庭センターなど関係機関とのつなぎ役にもなります。神河町でも少子化の波が押し寄せ、子どもの出生数が年間50人前後で推移する一方、町外からの移住者が増えています。中には地域で把握できていない世帯もあり、母子世帯を中心に孤立しがちな世帯が増えているように感じています。
※主任児童委員:子どもや子育てに関する支援を専門に担当する民生委員・児童委員
主任児童委員として町全域を担当するにもかかわらず、子どもやお母さんたちと直接向き合う機会も少なく、就任当初は悩みました。そのため、特に若いお母さんたちと顔なじみになれたらと、町の保健師が主催する「プレママカフェ」に参加しました。これは、妊娠初期から産後6か月の母子を対象に、産前・産後の身体のケアや子育てに関する講座を行うものです。
カフェには、母親同士のつながりを求めて参加する人が多いのですが、助産師などの専門職の助言を求める人も少なくありません。中には自身の悩みをうまく伝えることが難しい人もいます。その場合は私が声を掛けて悩みを引き出し、専門職につなげることを意識しています。プレママカフェは子育て中のお母さんたちにとって貴重な出会いの場ですが、私にとっても直接お母さんたちの思いや悩みに触れる大切な場所になっています。
民生委員・児童委員のなり手不足が課題になっていて、理由の一つに負担感の大きさが指摘されています。民生委員・児童委員は地域の何でも屋のイメージがありますが、それは、住民一人一人に寄り添う姿勢と臨機応変に活動している結果だと私は思います。今後もこの姿勢を大切にしつつ、次の世代へバトンを渡す上でも過度の負担感を払拭する必要もあると感じます。
今後も身近な存在として子育て中の親たちに寄り添い、関係機関と共に子育てへの協力者を一人でも増やすこと、そして、子どもたちの元気な笑い声が響くまちづくりを進めることが私の目標です。