2022年3-4月号
このコーナーでは、地域福祉のキーパーソンや実践者・当事者らのエピソード・思いを紹介していきます。
KHUAT THI THANH HUYEN
(クアット・ティ・タイン・フエン) さん
実習先: 社会福祉法人 兵庫県社会福祉事業団
特別養護老人ホーム 万寿の家( 神戸市)
いつも笑顔で前向きに
私は、ベトナムのタイビンという街から、技能実習生として日本に来ました。来日前は、ベトナム語の介護と看護の違いを十分には理解していませんでしたが、実習生として来日するにあたり、改めて介護の仕事についてよく調べ、大変そうだけれど意味のある仕事だと思い介護の仕事を選びました。
私が日本を選んだのは、送出機関の提携先として日本かドイツを選択でき、同じアジア圏である日本の方が文化や考え方がなじみやすいと思ったからです。また、幼い頃からドラえもんと名探偵コナンの漫画で日本文化に興味を持ち、漫画で描かれる世界と現実との違いがあるか体験してみたかったからです。
日本に来た頃は日本語の聞き取りも、話すことも満足にできず、介護の専門用語もよく分かりませんでした。また自分が言いたいことを伝えるのにも苦労していました。やがて同僚の応援や上司の励ましで、少しずつ理解が進み、今では仕事上の日本語はスムーズに話せます。目標だった日本語能力試験JLPT のN2レベルにも今年1月に合格しました。
介護の現場は小さなことが事故につながるケースがあり、常に周囲をよく見る必要があります。そうは言いながら、最初の頃の私は、利用者様を連れて戻る部屋を間違えたり、車イスの移乗介助の時にスリッパを履いていただくのを忘れたりと、うっかりミスで笑いを誘ったりしていました。
また私が気配りをして介護にあたっても、利用者様の立場からは、不慣れな環境でケアを受けることに不安があって当然なので、話す時には笑顔と丁寧な言葉遣いを心掛けています。利用者様は人生の大先輩。そう考えて日々接しています。
来日してから苦労も多くありますが、喜びもいっぱいあります。私は家族から遠く離れていますが、いつも温かい気持ちを与えてくれる身近な人々に感謝しています。また利用者様からの笑顔をもらって本当に幸せですし、その笑顔でやる気が出て、ますます仕事への愛着を持てるようになりました。
今後の目標は、特定技能へ移り介護福祉士の試験に合格することです。また、コロナ禍が落ち着いたら、家族を日本に招待して観光したり、美味しいものを食べてもらいたいと思います。今後も笑顔を忘れず仕事を続け、たくさんの笑顔をもらえる介護士になれるよう頑張ります。