私の物語 – 板垣 宏明(いたがき ひろあき)さん

 このコーナーでは、地域福祉のキーパーソンや実践者・当事者らのエピソード・思いを紹介していきます。

障害を持つ人が、何もあきらめなくてよい世の中に

板垣 宏明(いたがき ひろあき)さん
特定非営利活動法人アイ・コラボレーション神戸 理事長

Personal History

平成17年
兵庫県立障害者高等技術専門学院卒業
平成18年
NPO法人アイ・コラボレーション神戸入社
平成27年
第1回“アクセシビリティの祭典”開催
平成28年
同法人理事長就任
平成30年
第1回“わたし達の未来をつくる「アイデアソン・ハッカソン」”開催

私のモットー

人とのつながりを楽しみ、ネットワークを広げていきたい

小学生時代の体験

 先天的に関節が動かしにくく、日常生活では電動車いすを利用しています。「地域の子どもたちと一緒に学校生活を」という母の強い思いもあり、高校まで普通学級に通いました。
 子ども時代で思い出すのは避難訓練のエピソードです。ある年の訓練では、人が迎えに来るまで教室で待つように担任から指示を受けました。数年後、違う担任の先生は、「宏明と一緒に逃げる。みんなついて来い」と私を背負い、先頭に立って避難しました。「障害があってもみんなと平等に生きるってこういうことなの」と印象に残った出来事です。

IT を仕事に

 県立障害者高等技術専門学院でITを学び、アイ・コラボレーション神戸に入社してからはホームページのデザインや構築に携わってきました。業種に関係なく人と話すことが大好きだったためか、「団体の顔になれる」と見込まれ、事業運営や経営を学ぶ期間を経て、理事長に就任しました。
 現在は就労継続支援A型事業として、17名のメンバーでホームページの作成・保守やシステム開発、商品広告のデザインなどをしています。メンバーのほとんどが何らかの障害を抱えていますが、それぞれの特性が生かせる仕事を割り振り、能力を引き出すよう留意しています。公的機関だけではなく民間企業からの受注も増え、評価を頂いています。

障害者の「できる」を、増やしたい

 平成26年の「障害者権利条約」の批准以降、障害者の尊厳と権利を保障する機運が高まりました。これを受けてアクセシビリティ※1の実現や普及を目指して、新しい技術を学び体感できる“アクセシビリティの祭典”を平成27年から開催し、コロナ禍でもオンラインのイベントとして続けています。
 また、ユニバーサルデザインを謳いながら、障害をもつ当事者の声が反映されず、使い勝手が悪い商品があることを危惧していました。そこで、当事者が企業・技術者と一緒に商品開発を行う“わたし達の未来をつくる「アイデアソン・ハッカソン」”という取り組みを立ち上げて活動しています。
 日々進歩する技術は、当事者と企業・技術者の協働で障害のある人の生活上の不便を解消し、できなかったことを実現する可能性を広げます。今後もみんなと一緒になって障害者の「できる」を増やし、スポットが当たるような取り組みを進めたいです。

※1:心身の機能や状態に関係なく、全ての人が提供されている情報や機器、サービスを利用できること

アイデアソン・ハッカソンを経て開発した薬のパッケージ。開封しやすく、用法・用量も読みやすい文字で表記。凹凸をつけたQRコードは音声読み上げが可能で、多言語に対応するなどの工夫も

オンラインで開催したアクセシビリティの祭典は、全国の参加者とつながり、交流する場になりました

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