笑顔輝く共生のまちづくり−「NPO法人more繫盛(はんせ)」

“笑顔”と“共生のまちづくり”につながる取り組みをレポート

 閉校した小学校をリノベーションした「ゲストハウス繁盛校」。宿泊施設であると同時にコミュニティカフェやお祭りなども開催し、地域のさまざまな人が集まる場所になっています。

廃校を生かした地域のまちづくり

「地域の消滅を止めたい!」という気持ちから始まった活動

 宍粟市一宮町繁盛(はんせ)地区にある「ゲストハウス繁盛校」は、平成28年に閉校した旧繁盛小学校の校舎をリノベーションして令和3年に開設されました。家族連れの宿泊や学生の合宿に利用されるなど地域外からの利用者が多く訪れるだけでなく、地元の人が集う場所として、地域に活気をもたらしています。
 ここを運営するNPO法人more繁盛は、小学校の閉校をきっかけに、人がどんどん離れ、高齢化が進むこの地域に「少しでも多くの人に残ってもらいたい」との気持ちから、8つの地区の自治会長が中心となり結成されたまちづくり協議会が母体となって設立されました。

みんなが気軽に集まり、帰ってこられる場所に

 ゲストハウス繁盛校は、毎月第2・3・4日曜日には「Moreカフェ」というコミュニティカフェとして、地元の高齢者でにぎわいます。食事もさることながら、何よりおしゃべりが参加者の楽しみです。また、毎年10月には「繁盛祭」を開催し、ハンドメイド雑貨の販売や藍染めのワークショップ、地元の音楽グループによる吹奏楽コンサートなどで盛り上がります。
 また、コロナ禍で開催が止まっていた盆踊り大会の復活を望む住民の声を受け、話し合いを経て全地区合同の「繁盛夏祭り」として実現させました。祭りの当日は約500人の参加者がゲストハウス繁盛校に集まりました。「昔、自分が描いた提灯が飾られいてた」と卒業生が当時を懐かしんだり、地元を離れた人が里帰りして同級生と久しぶりの再会を果たすなど、参加者から多くの喜ぶ声が聞かれました。
 More繁盛の活動が生み出すのは、地区内外から老若男女問わず多くの方が集まる交流の場です。集う人たちの思い出に残る場となるよう、モットーである「おもしろき繁盛をもっとおもしろく!」を合言葉に、今後も地元での話し合いを大切にしながら、より良い地域づくりを目指します。

復活を遂げた繁盛夏祭り
おいしい料理とおしゃべりを楽しみに、地域の人たちが集うカフェ

取材を終えて

 「学校に泊まる」という非日常を体験できるのも魅力の一つであり、取材中には、開放している体育館からは元気な子どもたちの笑い声が聞こえてきました。学校の面影を残して落ち着いて過ごせる雰囲気と、地元の人たちの優しさに魅了されて多くの人が集まっているのだと感じました。

NPO法人more繁盛(はんせ)

場 所
宍粟市一宮町上岸田576
団体代表者
米田 正富氏
HP
https://www.morehanse.net/

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