2024年7-8月号
“笑顔”と“共生のまちづくり”につながる取り組みをレポート
神戸市外国語大学(以下、「神戸市外大」)のボランティアコーナーでは、学生たちがアイデアを出し合い、地域と協働したさまざまな活動を企画・運営しています。今回、これらの活動の中から「陽だまりサロン」を紹介します。
神戸市外大では、ボランティアコーナーに所属する学生たち自らが地域に向けたさまざまなイベントを企画・運営しています。それらの活動の一つが、学生と高齢者が交流する「陽だまりサロン」です。
サロンが始まった背景には、長田区など阪神・淡路大震災で深刻な被害を受けた地域から、高齢者を始めとした被災者が神戸市外大の周辺に移住したことにあります。
震災から時が経ち、学生たちは、移り住んで来た人たちが孤立しない街づくりをしたいと考え、平成21年からキャンパスに招いて交流する活動を始めました。以来、現在まで続く陽だまりサロンは、二か月に一度、高齢者と学生がざっくばらんに会話を楽しむ場として定着しています。
学生たちにとっても、普段の生活で世代の離れた人と接する機会は多くありませんが、学生と高齢者がサロンに集まると、交流して気付く世代間の違いや高齢者の経験談などで話が盛り上がります。
ある女性参加者が話した、戦時中の疎開や戦闘機の恐怖などの実体験は、世界で紛争が止まない今、学生の心に深く響くといいます。また、戦後間もない時代、女性が進学や就職などでカベや生きづらさに直面しながらも強く生きてきたことを知り、学生たちは恵まれた現在の環境を自覚し、何事にも挑戦する勇気をもらいます。地域の高齢者のためにと始めたサロンは、高齢者の居場所になると同時に、学生にとっても人生の大先輩から多くを学ぶ貴重な場になっています。
この数年を振り返ると、コロナ禍でサロンの開催を控えた時期もありましたが、現在はこれまで以上に参加者同士の交流を図ろうと、体を動かすゲームを取り入れるなど、学生は運営の工夫を重ねています。サロンの運営を担う学生メンバーの高笠原(たかさはら)さんは、「サロンのほか、この大学に留学している外国人と地域との異文化交流も進めたい」と次の目標を語るように、今後もサロンを始め、学生が地域とつながり、時に支え合う関係が広がることが期待されます。
陽だまりサロンでは、学生が手書きのお手紙を、高齢者の自宅に届ける「陽だまりお便り」などにも活動を広げています。サロンでの長年の活動が学生と地域とのつながりを深め、そこに参加する一人一人にとっての大切な交流の場であることを感じました。
神戸市外国語大学 ボランティアコーナー
場 所:神戸市西区学園東町9-1 第2学舎1階
ホームページはこちら
https://www.kobe-cufs.ac.jp/campuslife/volunteer/about.html
インスタグラムはこちら
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