2022年7-8月号
共生のまちづくりに向けて、市町社協が取り組むさまざまな活動を紹介します。
ひきこもりの悩みを抱えた本人とその家族へのサポートは、赤穂市社協が力を入れる活動の一つです。今回は、その居場所である「みんなのいえ」と、活動を支える社協の取り組みを紹介します。
市社協がひきこもり支援に向けて動き出したきっかけは、相談事業の中で、相談者が漏らした「福祉会館と病院以外に行く場所がない」という声を聞いたことです。市社協ではこの声を局内で共有し、“誰一人孤立させない”という思いから、ひきこもり支援事業を構想しました。同じ頃、市役所もひきこもりの実態調査を行うなど、支援策を模索していたため、連携して居場所づくりに取り組みました。先進地への視察や関係機関との課題整理・アイデア出しの検討会など、居場所の立ち上げまでにさまざまな工夫と準備を重ねました。
そして令和2年の秋、かつてデイサービス事業所として市社協が使っていた民家を活用して「みんなのいえ」がオープンしました。居場所開設の他に、月に1回のひきこもり家族のつどいの開催、市が設置する相談窓口「え~る」をはじめ関係機関との連携や、ひきこもり支援ボランティア養成講座、啓発講座なども行っています。
社協職員とみんなのいえのスタッフ。みんなで一緒に楽しみながら運営しています
みんなのいえでは、育てた野菜を収穫して食べたり、部屋に花を飾ったりと、季節を感じてもらうことを大切にしています。また、みんなで時間を共有することで、自然と会話が生まれ、互いを知り、悩みを分かち合うきっかけにつながっています。
この他にも、みんなのいえによく来る方の特技を生かし、地域の給食サービスと連携して、折り紙で作った季節の花をお弁当に添えて届ける工夫を取り入れました。このことは、みんなのいえと地域とをつなげ、本人の生きがいになるだけでなく、民生委員がお弁当を届ける際のコミュニケーションにも役立っています。
市社協の河内悠希(かわちゆき)さんは「集まる人同士が時間を共有し、悩みを語り合う中で生まれる笑顔を見ると、自分のことのように嬉しいです。家族の方も悩んでいるので、想いを話すことで少しでも笑顔になればと考えています。これからも居心地の良さを大切にしながら、活動していきたいです」と今後に向けた温かい気持ちを語ってくれました。
折り紙で作ったひまわりは地域に笑顔も届けています
その人の強みや個性を尊重することで、全ての人がいきいきと活躍する地域活動につながる
一方的な支援ではなく、本人と家族・地域とのつながりづくりや役割づくりを通して当事者をエンパワメントする大切さを改めて考える機会になりました。
赤穂市社会福祉協議会
TEL:0791-42-1397
http://ako-shakyo.jp/