2022年5-6月号
共生のまちづくりに向けて、市町社協が取り組むさまざまな活動を紹介します。
新温泉町の春来地区は、標高400m に位置する山間集落です。春来地区の住民が将来を見据えながら取り組んできた地域活動とその広がり、そして活動をサポートする社協の取り組みを紹介します。
春来地区では昭和50年代から過疎化への危機感が高まり、将来の地域づくりに向けて「村づくり部会」を発足させました。集落のさまざまな課題を話し合ってきた歴史の中、一例として、平成11年に住民の出資で「そば処てっぺん」を開店して運営を続けるなど、長年、団結してむらづくりに取り組んできた地域です。
「そば処てっぺん」のホームページ
https://www.harukiteppen.com/
そんな春来地区の冬は、家の明かりが遮られるほどに積雪する日があります。外出が難しく孤立しがちになることから互いの安否が心配になり、区の福祉部会が中心になって見守り活動を開始。やがて「給湯ポットの操作がわからない」「電球交換が難しい」などの声も寄せられ、これを区民と共有すると見守り活動に取り組む気運がさらに高まりました。試行錯誤を重ね、今ではちょっとした手伝いをし合う関係も生まれるなど、きめ細やかに活動しています。見守り活動は、いきいきサロンや清掃活動などとも相乗効果を生み、地域の日頃の交流も活性化しています。
町社協では、地域福祉推進計画において「地域ささえあい隊」という生活課題や住民ができることを話す場づくりを進めています。同社協の小南かおるさんは、春来地区が積み重ねてきた取り組みを大切にしたいと伝えつつ、計画の趣旨を説明して意見交換を丁寧に重ねました。その結果、平成30年に区民の意向を踏まえて福祉部会を地域ささえあい隊に位置づけました。
ささえあい隊になったことで、春来地区と社協とのやり取りが緊密になり、例えば、区民が気になっていた他地区の活動を社協が紹介するなど、地区の活動をさらに応援できるようになりました。また、サロンに医療職を招いたいきいき百歳体操の実施や、災害時の要援護者マップ作りに挑戦するなど、地域活動の幅も広がっています。小南さんは「今ある活動に、自然な形で社協が協力できるよう心掛けました。今後も一緒に地域福祉活動に取り組みたいです」と笑顔で語ります。
地域が積み重ねてきた歴史と活動を尊重しながら、一緒に新しい活動を模索する
困難をもたらすはずの雪が、住民の団結や見守り活動を生み、そこから見えてきた課題を話し合うことで地域全体での取り組みにつながっていることが素晴らしいと感じました。
新温泉町社会福祉協議会
TEL:0796-99-2488
https://shakyoshinonsen.wixsite.com/shakyo