【特集】令和4年度 兵庫県社協の取り組み ~つながりで笑顔輝く 共生のまちづくりを目指して~

感染予防に配慮しながら、久しぶりに再開したふれあいサロン(市川町)

福祉の仕事の魅力・やりがいを発信(福祉の就職総合フェアにて)

社会福祉法人連絡協議会が地域活動の一助にと実施した「オンラインツールの使い方勉強会」(神戸市中央区)

福祉関連施策の充実に向けた、社会福祉政策の提言活動(兵庫県議会にて)

 昨年、創立70年を迎えた兵庫県社協では、“つながりで笑顔輝く 共生のまちづくり”を基本目標に据えた中期計画「2025年計画」を策定しました。
 県民・関係者と共に進める行動目標「協働推進目標」と、県社協自体の事業体系「アクションプラン」で構成される2025年計画を踏まえ、さらには新型コロナウイルスを巡る動向や国の政策などを勘案しながら、県社協は令和4年度の事業計画を策定しました。
 今号では、昨今の情勢も交えつつ、県社協が取り組む新年度事業の概要をお伝えします。

社会福祉を取り巻く情勢 〜厚生労働省の新年度予算から〜

 新型コロナウイルスの影響が長期化する中、地域では生活困窮や社会的孤立などの生活課題が浮き彫りになり、複雑化・深刻化しています。
 この情勢を反映して、厚生労働省の令和4年度予算では、子育て家庭や女性への包括的支援体制の構築ひとり親世帯やヤングケアラーへの支援、増大する保育ニーズに対する保育士の確保対策などが重点事項に挙がっています。また、地域共生社会の実現に向けて、相談支援や地域づくりなどを一体で進める重層的支援体制整備事業の実施や、生活困窮者やひきこもりへの支援成年後見制度の利用促進の他、地域包括ケアシステムを見据えた認知症対策など、地域福祉と密接に関連する事業の重点化が図られています。

令和4年度 県社協の重点的な取り組み

 県社協では、国などの政策動向、さらには中期計画「2025年計画」とも照らし合わせ、以下4つの重点的な取り組みを柱に新年度事業を計画しました。

① コロナ禍における全県的な共生のまちづくりの推進

 コロナ禍で顕在化した孤立や生活困窮の課題の改善・解決に向けて、各市町域では「包括的な支援体制の整備」が求められています。この体制整備につながる事業の一つ「重層的支援体制整備事業」は、単に専門職が困難な状態にある人を支えるものではありません。一人一人の生きづらさに寄り添い、「支える・支えられる」という関係性を越えて、参加・活躍できる場を地域に生み出すこと。そして持てる力を引き出せる(=エンパワメント)地域づくりを目指すものです。社協、社会福祉法人、NPO、行政などには、培ってきた実践を生かして、つながりを絶やさない地域づくり、誰もが参加・活躍できる場づくりの支援、アウトリーチによる継続的な支援などに協働で取り組むことが期待されます。
 これを踏まえて県社協では、「包括的支援体制づくりセミナー」などを開催し、情報交換や実践事例の交流を通して、重層的支援体制整備事業を含む包括的な支援体制の整備の推進を図ります。
 また、令和2年以降を振り返ると、感染症予防の観点から、地域では各種行事や交流する場の延期・休止が相次ぎました。その反面、社会全体がウィズコロナを探る中で、創意工夫に富む住民主体の地域活動や、社会福祉法人連絡協議会(ほっとかへんネット)による地域公益活動が各地で生まれています。県社協では、生活支援コーディネーターの実践などを発信する「えんだより」や、機関紙「ひょうごの福祉」などで各地の活動を発信し、共生のまちづくりの全県的な推進に努めます。

② 新型コロナウイルス特例貸付の償還管理・相談支援の仕組みづくり

 収入の減少などコロナ禍で経済的な影響を受けた人の生活を支える事業として、令和2年3月から実施している生活福祉資金新型コロナウイルス特例貸付では、約16万5千件、総額782億円に上る貸付を行いました(令和4年3月末時点)。
 県社協は、今後長期にわたり適切な償還管理に取り組むと同時に、貸付を利用した世帯の暮らしの再建や自立を支えられるよう、市区町社協や自立相談支援機関などと連携して相談支援体制の構築を進めます。

③ 福祉・介護人材の確保・育成・定着、福祉のしごとのイメージアップ

 高齢・障害・児童などの分野を問わず、福祉サービスを担う福祉人材の確保は重要な課題です。県社協では、福祉の仕事の魅力発信として、プロモーションビデオの作成やオンライン就職説明会に新たに取り組みます。
 外国人の介護人材については、技能実習生に加え、特定技能に移行した外国人を支援する登録支援機関としての活動も新たに始めて人材確保に努めます。
 また、現場のマネジメントを担う管理職を対象にした「組織マネジメント研修(基礎講座・実践研修)」や、各施設・事業所の主体的な人材育成を促す「職場研修推進セミナー」などを新たに開催し、福祉人材の育成・定着を図ります。

④大規模災害に備えた支援体制づくり

 豪雨災害など大規模災害の発生時には、日頃からの地域の支え合いの力が問われます。県社協ではボランテイア団体などへの活動助成や、災害ボランティアコーディネーター養成研修などにより災害ボランティア活動を支える体制づくりに取り組みます。
 また、兵庫県が設置を進める「災害派遣福祉チーム(DWAT)」の活動に参画・協力し、各地の社会福祉法人連絡協議会(ほっとかへんネット)とも連携しながら全県的な災害時の支援ネットワークづくりを進めます。

今年度も、各地でつながり、支え合うための実践が生み出されていきます

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