笑顔輝く共生のまちづくり−「兵庫県立日高高等学校」

“笑顔”と“共生のまちづくり”につながる取り組みをレポート

 豊岡市にある県立日高高校には福祉科が設置されており、生徒たちが介護福祉士を目指して福祉や介護を学んでいます。今回は、そこで学ぶ3年生のユニークな活動「学校デイサービス」を紹介します。

地域と連携して高齢者に楽しいひと時を届ける

高校3年生が取り組むイベント「学校デイサービス」

 福祉科では、相手の気持ちに寄り添い、自ら考えて行動することが重視されています。特に、積極的に地域と関わって学ぶことが大切にされ、生徒たちは、小学生に向けた介護教室や中学生に福祉科を紹介するオープンスクールに取り組みます。
 そして高校3年生の11月には、実際に介護サービスを利用している地域の方を学校に招き、レクリエーション・昼食・コーヒータイムなどを通して1日を楽しんでもらう「学校デイサービス」を実施しています。

生徒たちのチャレンジを地域も見守りながら

 学校デイの実施に向けて、生徒たちは7月から開催テーマを決め、役割分担や当日スケジュールなどを協議します。昨年は「学校へ行こう」をテーマに、利用者に学生時代を懐かしんでもらおうと、授業形式で音楽や書道を楽しんでもらう企画を実施。今年は「日高秋祭り」をテーマに、お祭りの出店の雰囲気を味わってもらえるよう準備を進めています。
 生徒たちが準備を進める学校デイは、地域の協力があって初めて実現します。例年、広報や利用者の送迎などは地元の豊岡市社協から、市内の企業からは、歩行器や介護ベッドなどの貸出のサポートを受けており、地域の協力がこのイベントの開催を支えています。
 平成29年から始まった学校デイですが、これまでも参加した方たちからの「高校生との交流で元気がもらえた」という声、「普段は無口なのに、学校でのことを楽しそうに話してくれた」という家族からの声が寄せられ、生徒たちの励みになってきました。今年の3年生たちも「今年も皆さんに喜んでもらえるよう、力を合わせていきたい」と意気込みます。
 福祉科長の高附(こうづき)先生は「学校デイを通じて、生徒は自ら考えて行動する力を身に着けます。この力は人口減少が進む地域の福祉を支えていくと期待しています」と語ります。学校デイは秋の1日限りの活動ですが、準備から実施までに積むさまざまな経験は、福祉・介護分野での今後の活躍が期待される生徒たちの大きな力になっています。

昨年実施した学校デイの集合写真。利用者も生徒たちも笑顔で充実した一日を過ごしました

取材を終えて

 介護技術コンテストなど数々の受賞歴を誇る日高高校。将来の目標をしっかり語り、物事に真摯に取り組む生徒たちの姿勢から、その一端がうかがえました。

兵庫県立日高高等学校
所在地:豊岡市日高町岩中1番地

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