2025年9-10月号
県内に拠点を置いて活動する自助グループを紹介します
65歳未満で発症する若年性認知症は、仕事の継続、家事や子育てなど、高齢になってから発症する認知症とは異なる困りごとが現れます。今回は、本人と家族の会「りんどう(RING・DO)の会」代表の丸野さん、副代表の押野さん、前代表の芝さんにお話を伺いました。
Q1.
グループが立ち上がったきっかけは?
A.
前代表の芝さんがヘルパーをしていた時に、若年性認知症の方を担当しました。当時は若年性認知症の人への支援経験が無かったため、情報を得ようと県主催の研修に参加したところ、同じ研修を受けていた市社協の職員と「川西にも当事者や家族がほっとできる居場所をつくろう」と思いをともにしました。その後、当事者や家族、地域包括支援センターなどの関係者で話し合い、平成25年に「りんどう(RING・DO)の会」ができました。現在は、若年性認知症だった母を介護し、会の創設時から参画していた私が代表を引き継ぎ、活動を続けています。
Q2.
現在どのような活動に力を入れていますか?
A.
毎月の定例会「カフェわっか」です。そこには本人と家族、支援者、ケアマネージャーや地域包括支援センターの職員などが集い、コーヒーを飲んで悩みを分かち合いながら、利用できる制度の情報交換をしたり、みんなで取り組みたいことなどを話し合います。 また、川西市には住民が地域活動に利用できる民家「こもれび」がありますが、そこを不定期で借りて、誕生日会やクリスマス会などの行事やお好み焼きパーティーを開いて楽しんでいます。特に好評だったのは蕎麦打ち体験で、玄関が靴で埋め尽くされる賑わいでした。このように仲間と共に楽しむイベントは、日々の活力になる大切な時間です。
Q3.
社会に望むことやグループの目標は?
A.
若年性認知症と診断され、どうすれば良いのかと悩む方に情報が行き渡ればと思います。 そのためにも、当事者や家族が安心して話せる場があることを知ってもらいつつ、若年性認知症への理解を広めるため、市民向け講座で講師を引き受けるなど啓発活動を行っていきます。辛い話だけでなく、温かい話を分かち合うのも会の役目です。副代表の押野さんも、若年性認知症を発症した奥様と地域のサロンに参加して地域とのつながりができ、周りからの見守りや声掛けにより心が楽になった体験などを伝えています。 働いていて定例会に来られない当事者や家族には、LINEなどで連絡を取り続けていますが、顔を合わせる機会を大切にしたいと、その人の都合に合わせた出張型カフェを実施できないか検討しています。一人一人が自分の力を発揮でき、つながりの輪を持てるよう活動を続けます。