セルフヘルプグループのリアル−ひょうごかぞくねっと(兵庫県知的障害者施設家族会連合会)

 県内に拠点を置いて活動する自助グループを紹介します

ひょうごかぞくねっと(兵庫県知的障害者施設家族会連合会) 

 ひょうごかぞくねっとは、兵庫県知的障害者施設家族会連合会の愛称で、県内63の知的障害者施設の家族会、約3,800名で構成されています。今年で63年目を迎える組織の現在地とこれからについて、会長の山口英治さんに伺いました。

「家族会の存続」をテーマに熱心な意見が交わされたワークショップ
パンフレット

Q1.
 団体が立ち上がったきっかけは?

A.
 私たち「ひょうごかぞくねっと」は、昭和37年に県精神薄弱者施設連盟(※1)の設立と同時に立ち上がりました。法整備も十分でない時代に「わが子らのしあわせを追求しよう」を合言葉に、施設を利用する障害児者の豊かな生活と権利を護りたいという保護者らの強い願いで立ち上がりました。
 かぞくねっとは県内5地区での活動を基盤に、家族会同士の交流と学習、政策提言と幅広い活動を展開してきました。現在は、平成17年に発足した全国組織の支部として活動しています。
 ※1:兵庫県知的障害者施設協会の当時の呼称

Q2.
 現在、どのような活動に力を入れていますか?

A.
 課題として直面する、当事者家族の高齢化への対応です。「自分も高齢になり施設に出向けなくなってきた」「役員の成り手がいない」などの現状にコロナ禍が追い打ちをかけ、家族会自体が開けない状況が続きました。
 令和5年度、ようやくかぞくねっととして、顔を合わせての交流会や研修会が再開でき、直近では、課題と向き合うため、「家族会の存続」をテーマに交流会を開きました。参加者で話し合い、「家族の意見をまとめる場」「施設との橋渡し」としての家族会の意義が再確認できました。また、SNSの活用や施設への移動手段など、各家族会が取り入れた工夫も共有され、今後につながる前向きな場となりました。

Q3.
 これからの目標は?

A.
 声を出せない人の声を大切にする、かぞくねっとでありたいです。そのために大切な活動が、障害者の介護や看取りの体制づくりです。家族は「終の住処」としての福祉施設に期待する一方、医療との連携を含めて実現する高齢期の尊厳ある暮らしは、施設と共に研究するテーマだと考えます。
 また、当事者にしか分からないことがあるからこそ、立場を超えて理解し共感する人を増やしたいと思います。このため一方的な要望ではなく、対話に基づく意見交換の場づくりが重要だと考え、研修会も主催しています。会員のみならず施設関係者、行政、議員なども参加した研修では、私たちの会員は「一般社会の福祉力を高めたい」と語り、現状や思いを伝えながら皆で考える場にしています。社会の福祉力の向上を目指し、理解と共感を広がるよう幅広い立場の人たちとの意見交換を続けます。

団体の概要

名 称
ひょうごかぞくねっと(兵庫県知的障害者施設家族会連合会)
事務局
神戸市中央区橘通3丁目4-1 神戸市立総合福祉センター2F
電 話
078(371)3930
ホームページ
https://h-kazoku.ivory.ne.jp/

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