私の物語 – 溝田 ラビ(みぞた ラビ)さん

 このコーナーでは、地域福祉のキーパーソンや実践者・当事者らのエピソード・思いを紹介していきます。

テクノロジーの活用で楽しい介護を実現したい

溝田 ラビ(みぞた ラビ)さん
社会福祉法人弘陵福祉会 特別養護老人ホーム六甲の館

Personal History

平成30年
介護施設でアルバイトを始める
令和4年
介護福祉士の国家試験に合格
令和5年
社会福祉HERO’S TOKYO2023(※)にてヒーローズ賞を受賞

私のモットー

人の笑顔は、自分の笑顔

バイク事故の反省からやり遂げることの大切さに気づく

 海外で生まれて3歳の時に母親と帰国して以来、日本で暮らしています。母親が高齢者施設を運営しており、幼いころから利用者にかわいがってもらっていました。中学3年の時から母親が運営する特別養護老人ホームでのアルバイトとして、介護の世界に入りました。
 中学3年生までインターナショナルスクールに通っており、高校生になってバイク事故で大ケガをしました。これを機に「このままではいけない」と反省し、一念発起して漢字検定に挑戦。これに合格した経験は、何かを成し遂げる大切さに気付く第一歩でした。

利用者も職員も、毎日を楽しく過ごせる施設に

 勤め始めて入浴・食事介助などの業務を覚えましたが、施設に導入され始めていたノーリフトケアを目にして、最先端の介護に興味をもちました。人力で抱え上げない介護は、職員の腰痛予防の点でも大事な取り組みで、ケアを受ける人にも安心感を与えます。導入当初は、従前のケアに慣れた職員から反対の声もありましたが、機器の使い方を一緒に検証し、今では全居室でのノーリフトケアが実現しました。
 また、仕事をする中で気付いたのは、日中じっとしている人の認知症が進みやすいことでした。楽しく過ごしてもらうためにできることを考えて着目したのが、介護記録を入力するために導入していたタブレット端末でした。その端末を使い、利用者さんに赤ちゃんの動画見てもらうと、いつにない笑顔で画面に話しかける姿を見せてくれました。これは良いなと感じ、利用者さんの反応が良かった動画を職員が検索せずともボタン一つで見てもらえるよう、プログラミングも勉強して「デジタルセラピーアプリ」を開発しました。

「デジタルセラピーアプリ」を使って、利用者のお気に入りの動画を楽しんでいます

介護のイメージを変えるために

 介護の仕事は、賃金が安い、仕事が大変など悪い面がイメージされがちですが、今は違ってきています。さまざまな技術を取り入れることでケアの質は上がりますし、効率化で生み出した時間で利用者さんと遊び、楽しみながら仕事ができると考えています。
 テクノロジーと福祉を組み合わせることで介護のイメージを変えたいですし、そのためにも、今後も新たなことに挑戦し、発信し続けたいと思います。

  • 社会福祉 HERO’S TOKYO2023
    福祉の現場でさまざまな挑戦をする若手職員の声を、広く発信するため、全国社会福祉法人経営者協議会が主催したイベント

 溝田さんが勤める六甲の館のインスタグラムはこちらから
 https://www.instagram.com/rokkonoyakata/

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