2022年1-2月号
共生のまちづくりに向けて、市町社協が取り組むさまざまな活動を紹介します。
令和元年7月、認知症当事者の方々がスタッフとして活躍する『注文をまちがえる喫茶店「だんない」(以下「だんない」)』が、丹波市にオープンしました。
今回は、“だんない”の立ち上げに向けて、丹波市社協が当事者や関係機関と一緒に進めた活動を紹介します。
※だんないは地元の方言で「気にしない、かまわない」の意味
だんないは、認知症当事者家族の「認知症の人が主役となって楽しめる場が地域にあれば」という声から生まれました。
家族の声を聞いた市社協は、当事者家族、日頃から連携している住民、地域包括支援センターと共に実行委員会を設立。実行委員会では、「忘れても間違えても、温かく受け入れてほしい」という想いを共有し、個人や企業から賛助・寄付などの協力を得て、地域に根差した喫茶店を始めることになりました。
まず重視したのは、当事者・家族の視点です。そのために、地域包括支援センターが行う個別相談や医療介護連携、地域へのアウトリーチを活かした当事者・家族との信頼関係の構築に努めました。また、地域との協働や息の長い活動にすることも重視し、社協が進める地域の意識づくりやネットワークづくりをベースに、自治会長会・自治協・民生委員などで構成された「地域支え合い推進会議(協議体)」の協力を得て企業への働きかけを行いました。同時に自治会長会などで認知症サポーター養成講座を開催して認知症を受け入れる風土を醸成するなど、地域、企業、関係機関の協働を基盤に活動できるよう準備を進めました。
初の実行委員会から5か月。地元の飲食店を借り、当事者スタッフ・家族との打ち合わせ、まちがえない仕組みづくりなど、本番を想定したシミュレーションを経て、だんないはオープンしました。
新型コロナウイルスの影響で、開催を見合わせた時期もありましたが、テイクアウトを導入して活動を続ける工夫も図りました。コロナ禍でもSNSや口コミもあり、だんないには若者の来店も多く、多世代交流も生まれています。
市社協の生活支援コーディネーターの庄司滉祐さんは、「当事者への理解と支え合う意識と風土の醸成は共生のまちづくりに不可欠。関係機関との協働、地域や協議体を軸に地域団体や企業とのネットワークを広げる“三方よし”、マネジメントを意識しました」と活動を振り返りました。
※ 次回は2月5日にテイクアウト形式で開店します
誰もが活躍できる地域づくりは、当事者の思いと声を紡ぎ、共に話し合うことからはじまる。
当事者の居場所づくりやエンパワメントの大切さに加え、地域・関係者間の話し合いによる協働のあり方を改めて考える機会になりました。
丹波市社会福祉協議会
TEL: 0795-82-4631(代)
https://www.tambawel.jp/