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「権利擁護サポーター」の養成に向けた検討委員会を開催

 7月30日、県社協では、県立広島大学講師の手島洋氏を委員長とし、県内自治体や社協職員ら12名の参画のもと、第1回「権利擁護の多様な担い手養成モデル事業検討委員会」を開催しました。
 本委員会では、住民の立場で地域の見守り・相談支援活動に参加して、生活・社会参加を支援する権利擁護サポーター(以下、「サポーター」)の養成のあり方と、養成したサポーターが地域で活躍できる仕組みを、数回にわたり検討します。
 今回は、主にサポーターの活動イメージ、養成研修のカリキュラムについて議論がされました。「サポーターの活動は、生きづらさを抱える人や権利擁護を必要とする人たちをボランタリーに支え合う市民活動」「サポーター養成を通して、権利擁護の視点と知識をもつ市民が増えることが大切」「養成研修では当事者に協力してもらい、リアリティが持てる内容になれば」など、さまざまな意見が出されました。
 認知症高齢者や知的障害者などへの意思決定支援を始め、権利擁護の取り組みを地域で進めるためには、専門職のみならず地域住民の参画が欠かせません。
 生きづらさ抱える人たちの権利と暮らしを、同じ住民の立場で支えるサポーターの養成に向けて、次回以降の委員会でも協議を続け、今年度中に、カリキュラムの作成と研修のモデル実施につなげていく予定です。

サポーターの養成研修カリキュラムの策定などに向けて、今後も検討委員会で協議を続けます

社会福祉法人の実践から災害時の福祉救援を考える

 県社協では、能登半島地震での支援経験を共有し、今後の災害支援を考えることを目的に、8月23日に「ほっとかへんネット実践交流会」を開催。社会福祉法人や社協など各市区町のほっとかへんネットの実務担当者65名が参加をしました。
 基調講義では、佛教大学専任講師の後藤至功氏から、「能登の福祉施設・事業所では、厳しい環境でも、必死に利用者の生活を守り抜こうと奮闘する姿を見せていただいた」と被災地の実際が報告され、「この地震を他人事にせず、兵庫県ではどうするかを考えてほしい」と参加者への投げかけがされました。
 続く実践リレー発表では、被災地で活動した4名が登壇。DWAT、1.5次避難所への介護職員の派遣、高齢・障害者施設への応援派遣、ほっとかへんネットが実施した災害救援と、それぞれの立場から、被災地での実践と、そこで見えた課題が発表されました。
 参加者からは、「DWATの派遣には施設長などの後押しが必要」「命を優先する広域避難は否定しないが、施設の事業継続が課題。利用者が地域に戻れない現実もあり、医療とのしっかりとした協議が必要」「ほっとかへんネット同士での相互協定が締結できれば」などの意見が出されました。
 県社協では、災害を含む地域の生活課題の解決を念頭に、ほっとかへんネットの実践を相互で学び合う実践交流会を今後も継続していきます。

被災地での活動報告を受け、参加者は今後の災害に備えて、社会福祉法人が連携して取り組めることを考えました

令和7年度兵庫県の社会福祉政策への提言

 県内の社協、社会福祉法人・施設、当事者団体、職能団体などの意見をもとに、社会福祉政策委員会では、国や県に対する政策提言活動を行っています。
 今年度も、令和7年度に向けた提言として22団体から91項目が提出され、福祉現場などで生じている課題などに基づく提言を取りまとめました。
 中でも、県内全域の共通課題や、政策への反映が強く求められるものを「重点提言」として整理しています。

令和7年度
兵庫県の社会福祉政策への提言
重点提言

Ⅰ 福祉人材の確保に向けた施策のさらなる充実強化
Ⅱ 物価高騰の時代における福祉サービス・事業が継続できる施策の強化
Ⅲ 誰も取り残されない 防災・災害支援体制の強化

 重点提言の1点目は、深刻さが増す福祉・介護人材の確保に関する事項で、他業種との賃金格差などの実情も明示しながら各種の政策の実現を求めています。2点目は、物価高騰を踏まえた施策の強化です。物価高の影響で福祉施設や事業所の経営環境は深刻さが増しており、福祉サービスへの財政支援や報酬算定方法の見直しなどを求めています。最後の3点目は、防災・災害支援体制の強化です。南海トラフ地震なども想定される中、大規模災害の発生時に、誰も取り残されない支援体制の構築について提言を行っています。
 これらの提言は、兵庫県の社会福祉政策の一層の充実につながるよう、県知事をはじめ、県議会議長・副議長、各会派、県幹部職員などにも説明を行い、その実現を求めています。

9月12日、社会福祉政策委員会の田口副委員長、谷村副委員長とともに入江委員長から齋藤知事へ提言書を手交

提言内容は県社協のホームページに掲載しています
https://www.hyogo-wel.or.jp/about/research.php

寄付寄贈のお礼

 今号では、6月以降に温かな善意をお寄せいただいた企業を紹介します。

■紀の庄木材株式会社様より、兵庫善意銀行に、児童福祉の推進を目的とした浄財の寄付
■株式会社四国銀行様及び株式会社フードライナー様より車いす12台の寄贈。これらは、県内6つの市町社協に届けられ、住民への貸出や福祉学習などで活用されます

 温かな善意に対して、改めて御礼申し上げます。

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