2025年11-12月号
共生のまちづくりに向けて市町社協が関わるさまざまな福祉活動を紹介します。
芦屋市にある「つむぐ広場」は、障害のある人が仕事や学校の後に寄り道できる居場所として生まれました。この居場所ができた経緯や設立に携わった障害のある子を育てる親たちの思いを紹介します。
芦屋市自立支援協議会では、関係機関や当事者、その家族が構成員となり、障害のある人が自立した生活を営むための支援体制などについて話し合っています。令和3年度に、長年課題だった障害のある人の居場所について協議を進め、当事者の家族や事業所へのヒアリングを実施しました。特に福祉サービスの利用や就労を終える時間帯(概ね15時から家族が帰宅する夕刻)に、立ち寄れる場所が欲しいという声が多く寄せられました。こうした声の背景には、夕方の居場所として利用される放課後等デイサービスが18歳以降は利用できないこと、夕方に過ごす居場所がないため、就労を諦める親もいるなどの実情があります。
これを受けて自立支援協議会では、夕方に寄り道できる居場所の立ち上げに向けて検討を開始。令和4年度には「つむぐ広場」の名称で試行的に5回活動し、時間帯や開催場所などの改善を重ねました。
活動を続けるうちに、障害のある子の親で、自立支援協議会の構成員でもある永田顕子さんと能瀬仁美さんは、広場を1年限りにせず継続したいと考え、協議会の構成員などに対して、広場の運営への協力を呼び掛けました。結果、親を中心に協力者が集まり、令和5年度に運営団体「つむぐ会」を発足させました。
つむぐ広場は月1回開催され、市内に在住・在学・勤務する方が立ち寄ります。集まった人たちでおやつを食べ、トランプやボードゲームなどをして楽しんで過ごしています。つむぐ広場は家とも職場とも違う地域の居場所であり、ここに来ることで会える仲間と交流を深めています。
また、広場は障害がある人たちが自立して地域で暮らすための社会経験を積む場でもあり、開催場所までバスで移動する参加者にとっては、公共交通機関を利用する練習にもなっています。
運営に継続して携わる永田さんと能瀬さんは、「誰もが地域で安心して暮らすために、つむぐ広場のような身近な居場所が必要」「親だけに限らず、いろいろな団体や人にも運営の中心として携わってもらいたい」と話します。つむぐ広場のような居場所とともに、居場所に対する当事者・家族の思いが広がることを望みながら、活動は続きます。
芦屋市社会福祉協議会
TEL: 0797-32-7530
https://ashiya-shakyo.com/