2026年1-2月号
“笑顔”と“共生のまちづくり”につながる取り組みをレポート
コミュニティバスは、路線バスなどの公共交通が充実していない地域において、地域住民や自治体が中心となり地域の特性に応じた柔軟な運行を行うバスです。西宮市でコミュニティバスを運行している「ぐるっと生瀬運行協議会」を紹介します。
西宮市北部の生瀬地区は急勾配の坂が多く、自家用車以外での移動が困難な地域でした。高齢化が進み「外出できない」「買い物や通院に苦労している」という悩みが寄せられるようになり、平成21年に自治会有志による自家用車での移動支援を試みましたが、ボランティアによる運行は資金面や安定した運行に課題があり、活動を継続することが困難でした。そこで、コミュニティバスの運行について協議を始め、有識者によるアドバイスの下、先進地の視察や勉強会の開催など地域で移動の課題について考え、住民が中心となりコミュニティバスの運行体制を構築しました。
その後、生瀬地区の全ての自治会、行政、車両運行を担う企業(阪急タクシー株式会社)なども交えて協議を重ね、平成27年に「ぐるっと生瀬運行協議会」を設立。コミュニティバスの本格運行を開始しました。運行から10年、現在コミュニティバスは、全6路線で運行され、年間3万人の利用者を数える地域に欠かせない住民の足になっています。
このコミュニティバスは、地域住民、行政、企業が共同で運行していることが特徴です。地域住民は利用促進に向けた広報だけでなくバス停の増設に向けた働きかけなど幅広く行い、その取り組みを行政がバックアップし、実際の車両運行を企業が担っています。
さらに、コミュニティバスは不可欠な移動手段であると同時に、住民同士がつながる大切な場になっています。「バス友ができ、趣味にも意欲的になれた」「外出の機会が増えた」という声も聞かれ、ぐるっと生瀬運行協議会理事長の高橋さんも、「コミュニティバスは移動手段を超え住民同士のつながりや一人一人に生きがいをもたらす存在となっている」と語ります。
長年かけて実現したコミュニティバス。高齢化と人口減少が進む中で、今後も運行協議会を中心に維持や改善に向けて話し合い、いつまでも生瀬で暮らし続けたいという住民の願いを乗せて走ります。

ぐるっと生瀬のゆるキャラ「ぐるっとちゃん」。
住民の方々が手作りで着ぐるみを制作したとのことで、地域で協力し合う温かみを感じました。いつか会いたいなと思いました。