みんなでつくるひょうごの福祉 – 話し合いが生み出した外出支援

地域で支え合い、地域を元気にする取り組みを紹介します

今回は、加西市で住民ボランティアによって取り組まれている外出支援「はつらつツアー」を紹介するよ。

話し合いが生み出した外出支援

住民のニーズに応えたい

 約1,800世帯が暮らす緑豊かな下里地区には、民生委員や区長などで構成する「下里地区はつらつ委員会(以下、「委員会」)」がある。普段から見守り活動や学習会などに取り組んでいるが、令和元年夏、加西市社協の紹介により、養父市で住民同士が支え合う外出支援を行っている団体を視察した。参加したメンバーは大いに感銘を受け、中でも「地元でも実現したい!」と決意したのが、現在、はつらつツアーの隊長を務める中村尚史さんだ。
 視察後、早速中村さんを中心に住民アンケートを実施した結果、多くの高齢者が買い物や通院の移動に困っている実情が浮き彫りになった。これにより、外出支援の仕組みづくりに向けた準備室を立ち上げ、その話し合いの中で「交通事故に遭った時はどうする?」「住民への周知方法は?」など運営面のさまざまな課題を検討。新しいものをつくりあげるワクワク感も共有しながら会議を重ねた。

もうすぐツアーがスタート
とても楽しみ!

送迎は玄関先まで

 1年を超える話し合いと準備の末、昨年11月に「はつらつツアー」の活動をスタートさせた。月4回、10名のボランティアがシフトを組み、自家用車を運転して実施するツアーは、75歳以上の方が利用可能で、乗車する人の負担額はガソリン代程度とした。
 はつらつツアーのこだわりは、行き先を当日自由に設定できることと自宅の玄関先まで送迎することだ。ニーズに柔軟に対応できる背景には、利用者一人一人のことを知り、寄り添おうとするメンバーの熱意がある。

活動の更なる発展に向けて

 最近、地区唯一のスーパーマーケットが閉店し、はつらつツアーには一層の注目が集まる。「時間帯を細かく区切るなど、より利用しやすい仕組みにしたい」との思いから、にわかな外出の希望にも個別に対応する臨時便の運行も加えた。
 はつらつツアーの進化は、まだまだ続く。

検温して乗車。
いろんな人との会話ができるのもはつらつツアーの魅力

取材を終えて

 楽しみながらツアーの運営に取り組む姿がとても印象的でした。住民との関わりを広げていくことが、地域生活課題の解決につながると感じました。

下里地区はつらつ委員会
はつらつツアー事務局
TEL : 090‐8193‐4511

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