セルフヘルプグループのリアル −神戸スタタリングプロジェクト

 県内に拠点を置いて活動する自助グループを紹介します。

神戸スタタリングプロジェクト

 「神戸スタタリングプロジェクト」は、話し言葉が滑らかに出ない「吃音」のある人たちのセルフヘルプグループとして活動しています。グループが発足した経緯や現在の活動について伺いました。

親子のつどいでは、みんなで輪になりアイスブレイクから
3歳から80歳までみんなで出かけて楽しむレクリエーションはとても大切な活動です

Q1.
 グループが立ち上がったきっかけは?

A.
 今から40年前、インターネットもなく吃音の人が相談できる機関も明確でなかった頃、行政に相談があると心身障害者福祉センターで相談員をしていた前会長(吃音の当事者で言語聴覚士)に相談がつながれました。その後、相談者が増える中で、個別での相談よりも当事者同士で話し合えることが互いの学び合いになると考え、吃音者の自助グループ「神戸スタタリングプロジェクト」として会を発足し、活動するようになりました。

Q2.
 現在、力を入れている活動は?

A.
 発足以来、毎月の例会「吃音教室」を続けています。ここでは、吃音について学ぶとともに、それぞれの吃音との向き合い方や暮らしの中での工夫などを情報交換し、交流を深めています。
 また、私たちは幼児期からの取り組みが重要と考えており、25年前から吃音のある子とその保護者が集まれる場として、神戸と西宮で「吃音親子のつどい」をもっています。ここでは子どもたちが遊んだり、吃音について話し合いますが、子どもの学校生活や将来に不安を抱く保護者同士も交流を深めています。これらの集いには言語聴覚士や教員など支援者も訪れ、どのような支援が大切かを当事者との交流から学べる場にもなっています。
  特に子どもから大人まで、一緒に楽しみ肌を通して対話を深められるゲームやバーべキューなどのレクリエーション活動が大切だと考え、活動に積極的に取り入れてきました。

Q3.
 団体の目標や社会に望むことは?

A.
 「吃音は治る・治すべき」という考えにとらわれず、吃音を持ちながらも自分らしい生き方を求めていける場でありたいです。吃音の症状も願いも人により異なり、ライフステージで変化することから、私たちは、当事者が自身のテーマに向き合い、より良い生き方を楽しく研究することが大切だと思っています。
 また、私たちのような自助グループの中には、近年、メンバーの高齢化で存続が難しくなる団体もあります。子どもと親世代に向けた取り組みにも力を入れ、多世代で交流を深めてきた私たちの活動が、他のグループのヒントになればと考えます。活動が広く知られることで、多様性が尊重される時代の社会づくりに貢献できたらとも考えています。

団体の概要

名 称
神戸スタタリングプロジェクト
メール
hotkobe_ito@yahoo.co.jp

 ※吃音教室は、原則として第3日曜日に開催しています

 ホームページ
 https://3435.moo.jp/

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